MLBは今季からナ・リーグでDH制を導入することで合意したと、マンフレッド・コミッショナーが10日、発表した。 DH制は1973年にア・リーグで導入されて以降、ナ・リーグでも導入の検討が何度か行われたが、導入しないままだった。

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【解説】昨年まで、ナ・リーグ主催の交流戦で「大谷翔平をいかに起用するか」は度々、議論されてきた。DHが使えなかったため、出場は基本的に代打での1打席に限られた。打撃力を生かすため、打席数を増やす選択肢の1つが「外野手でのスタメン起用」だった。日本ハム時代に外野手の経験があり、身体能力も高い。エンゼルスのマドン監督は、この“秘策”のタイミングをうかがっていたはずだ。

継投に伴う代打起用や、投手の打撃を考慮した戦略を立てることは、ナ・リーグならではの戦い方。実際に同監督は投手を打順に組み込むナ・リーグの試合を好んでいた。だからこそ昨年、DH制のア・リーグでDHをあえて解除し、大谷を投打のリアル二刀流で起用することが実現したと言っても過言ではない。ナ・リーグの試合でも、大谷を絡めた奇策をたくらんでいたかもしれない。新たな起用法についての議論がなくなれば、寂しさも残る。

また、1カ月に1カードほどの頻度だった交流戦は、二刀流でフル稼働していた大谷を休ませる意味でも効果的だった。登板日と重なることもあったが、疲労蓄積のタイミングでベンチ待機が続き、状態を回復できる機会にもなった。だが、今季からユニバーサルDHの導入で、交流戦でもフル出場が見込まれる。故障予防の点でいえば、より一層、大谷本人から休養を申し出る必要も出てくる。いずれにしても、新ルール導入後、二刀流で2年連続のシーズン完走なるか、注目となる。【MLB担当=斎藤庸裕】

◆DH制の採用 大リーグは1973年にア・リーグで導入されて以降、ナ・リーグでも何度か検討は行われてきた。今回の決定で五輪、WBCなどの国際大会を含めて、大部分が採用することになった。現在導入してないのはセ・リーグ、東京6大学野球、高校野球など。韓国、台湾、中南米などの各国リーグ、社会人野球、全日本大学野球選手権なども採用している。

○…ナ・リーグのDH制導入は、日本球界にも影響を与える可能性がある。コリジョンルールなど米メジャーで新たに決まったものは、翌年以降、日本でも導入される傾向がある。今回はルール変更ではないが、セ・リーグでは、かつて巨人がDH制導入を提言していた。メジャーが両リーグともDH制となることで、セ・リーグのDH制導入に関する議論が再燃することも考えられる。