【アナハイム(米カリフォルニア州)8日(日本時間9日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(27)が、殊勲の一打で劇的なサヨナラ勝ちに貢献した。「3番DH」で出場したナショナルズ戦。土壇場の9回2死一、三塁から中堅フェンス直撃の2点適時二塁打で同点とした。続くレンドンの中前打で激走し、サヨナラのホームを踏んだ。この日は母の日で、ピンク色を基調とした道具を身につけてプレー。劇的な幕切れで思い切り喜びを表現し、最高の笑顔を届けた。

    ◇    ◇    ◇

はしゃぎ、抱きつき、目いっぱい喜んだ。大谷が最後の最後で、とびっきりの笑顔を見せた。同点打を放つと両手を突き上げ、大きく口をあけて叫んだ。続く中前打で好スタートを切り、右股関節の張りで慎重だった全力疾走に入る。「最後はもう突っ込むことだけ考えて。いい打球だったので、ほぼ間違いなくかえれるかなとは思ってました」。スライディングしながらガッツポーズし、1回転して再び、右拳を天に掲げた。祝福の輪に飛び込み、仲間と歓喜のハグ。劇的な幕切れの余韻に浸った。

メジャーでこれだけ喜びを表現した瞬間はあっただろうか。そう思わせるほど、感情があふれ出ていた。手術や故障を繰り返し、ふがいないシーズンを送った最初の3年。4年目、二刀流で歴史的な活躍を見せても、負けることが多かった。自らのパフォーマンスと勝敗が合致しなかった4年間。だが今季は、昨年までとは違う。打てば勝つ確率が高くなる上に、打てなくても全員野球で勝ちきる。求めていたチーム全体の“強さ”が形になり始めた。

今季は開幕から本調子ではない状態が続き、この日も4打席目まで見せ場がなかった。だが中堅から左方向への意識でわずかなズレの改善を試み、基本とするセンターへの打撃で結果が出た。「ここ数試合は感じ的には悪くないので、いい感じの打球もありますし、あとちょっと。もう少し、我慢が必要かなと思います」。今は耐える時。目指すべき到達点まで屈しない姿が、大谷らしさでもある。

この日は母の日で、ピンク色を基調にした用具やバットを使用。第4打席から通常の黒バットに戻した。昨年、MVPを獲得した際には家族との祝福について「母親は(自宅に)来ているので、帰ったらいると思いますけど(予定は)特には。また明日も(練習が)あるので、早めに寝ると思います」と明かし、クスッと笑った。日本に滞在中のオフの期間、食事を作ることもあるという母・加代子さん。2回開始前には、幼少時の自身との写真が電光掲示板で紹介された。愛情に包まれ、野球に精いっぱい取り組んできた大谷翔平。元気いっぱい、最高の笑顔で、恩返しを果たした。