「3番投手兼DH」として今季6度目の先発マウンドに上がったエンゼルス大谷翔平投手(27)は、6回2安打1失点で勝敗はつかなかった。

大谷は今季、昨季まで外野手用として使っていたモデルを改造したグラブでマウンドに立っている。用具を提供するアシックスは昨オフ、投手用と外野用の2種類を用意した。しかし、外野用の親指部分などに使われた硬さのある「特殊皮革を気に入っていただき」(同社担当の沢野善尋氏)、投手用と兼用することになった。シーズンを通じて、グラブがへたりにくい利点がある。

外野用は、網(ウェブ)の部分が「クロス」と呼ばれる十字型だった。このままでは、握りが打者から見えてしまうため、縦棒部分を2本から4本に増やした。見えにくくしたとはいえ、投手がクロスウェブを使うのは異例。ダルビッシュ(パドレス)、涌井(楽天)ら、同社のグラブを使用しているプロ投手では唯一だ。

握りの見えにくさと同様に今回重視したのは操作性だ。小指と薬指は、同じ部分に2本入れる形状だ。「指先まで力が伝わりやすく、開閉がしやすい。しっかりつかめる」(沢野氏)と外野用では一般的だが、投手が使用するのは珍しい。投手用よりは大きく、癖がばれないようにする指カバーもついていない。前人未到の二刀流を進む大谷は、用具でも新たな道を開拓している。【斎藤直樹】