米大リーグ機構(MLB)は、一部の球団について、女性職員が働くにあたり労働上必要な便宜を図っていないと指摘。「恥ずかしくなるくらいの低水準」な環境であるとし、早急に改善するよう各球団に求めた。

MLBでは昨今、女性スタッフの雇用が増加している。ジャイアンツは今年、監督補佐のアリッサ・ナッケン氏を女性ではメジャー史上初めてオンフィールドコーチに任命。マーリンズでは21年に先立ちキム・アング氏がGMに就任するなど、ほかにもクラブハウスやその周辺で女性の働く機会が増えている。

AP通信は、MLBの競技運営を担当しているマイケル・ヒル氏の覚書を入手。そこには「ビジターチームの一員として移動する女性が、男性の同僚や相手チームのスタッフと同じレベルで仕事ができるような宿泊設備が与えられていないことは受け入れがたい」と書かれていた。また、ビジター側の女性スタッフに「MLBの球団として遠征するメンバーに提供される高い水準から比べると、恥ずかしくなるくらいの低水準」の設備を提供している球団が多いとし、「女性にとって耐え難い労働環境で、特定の都市には遠征しないという選択をする女性も出てきている」と批判している。

そして、各球団に「ホームとビジターの両方の女性スタッフに、清潔な空間のロッカールームを提供すること」を要求。条件として、「ホームまたはビジターのクラブハウスに近接していること」「個室であること」「適切なトイレとシャワー設備があること」を挙げ、6月3日までに現状の設備と改善に関する計画書を「詳細な平面図、説明、写真」を添付して提出するように指示した。

ヒル氏は「球場によってはスペースの関係で、これらの条件を守ることができない球団があることは理解している」としつつも、「われわれは全ての球団が、女性スタッフに基準を満たす施設を提供するために必要な犠牲を払うことを期待している」と述べている。(AP)