パドレス傘下の3Aエルパソ秋山翔吾外野手(34)が29日(日本時間30日)、シュガーランド戦に「7番右翼」でフル出場し、2号3ランを放った。

4打数1安打3打点1四球で、5月11日にチームに合流して以降、出場13試合中12試合で安打をマーク。打率3割1分6厘と本来の調子を取り戻してきた。目指すは、もちろんメジャー復帰。レッズ退団後、あえて厳しい道を選択した秋山は今、自分の「現在地」をどう見ているのだろうか。【取材・構成=四竈衛】

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日中は気温30度を超えるテキサス州エルパソ。市内を流れるリオグランデ川が国境とされ、対岸にはメキシコの街並みが一望できる。地域人口約87万人の約8割をヒスパニック&ラテン系が占め、米国ながらスペイン語ばかりが飛び交う街。秋山は生き生きとした表情で白球を追いかけていた。

「結果もそうですけど、内容まで詰めると…。簡単にきれいなヒットばっかり打てないですから。でも1本ずつ(安打を)出してるとか、元気にフィールドに立ってやっているということ自体、1カ月前のことを考えたら、まったく動きとしても違いますね」

春季キャンプ終盤の3月末。レッズから戦力外通告を受けて選んだ道は、日本球界復帰ではなく、パドレスとのマイナー契約だった。無論、メジャー復帰への壁が高いことは十分に承知していた。秋山が昇格する場合、メジャー40人枠から他の選手が1人外れることを意味する。NPBでの2軍→1軍への昇格とは異なり、契約社会の米国でのメジャー枠入りは、周囲が思うほど簡単ではない。

「早く上がんなきゃ、と言ったところで、何ができるか。やれることは限られています。試合に出て、しっかりと体を整えて、たとえば緊急事態でもやれるというのを誰かが見てくれていれば、年を感じさせないというか、そういう姿は大事だと思います。それを続けていくだけで、今残しているもの、感じているものは、今後、絶対に生きてくると思っています」

レッズ1年目の20年は、主に1番として起用された一方で、左腕相手の際にはベンチスタートや代打を送られるケースが大半だった。西武時代、ほぼ全試合に出場し続けてきたバットマンは、自らの感覚を維持することに苦心した。

「今は3Aとはいえ、(機会を)与えられて試合をやれている。体の疲労度やコントロールの仕方とか、久々に日本にいる時のような感じになっています」

15年に年間216安打の日本最多記録をマークしたベテランが、若い選手から「ショウゴ」と呼ばれ、屈託ない笑顔でハイタッチを交わす。単身で戦う今は、クラブハウスで用意された食事を、夜食用に「テイクアウト」することにも抵抗はない。

「野望はまだ先にありますけど、自分の中では(昨春)ケガをして以降では、一番、野球と向き合っているという感じです」

日米通算プロ12年目。悔いを残すことだけはしたくない。自らの現在地を語る秋山の「目力」は、いつも以上に力強かった。

 

◆パドレスの外野陣事情 レギュラーはマイヤーズ、プロファー、グリシャムだがグリシャムは今季ここまで打率1割6分4厘、2本塁打、16打点と不振が続いている。プロファーは6本塁打、22打点をマークしているが打率は2割2分2厘と低い。控えにアソカルとトンプソンがいるが、アソカルはここまで57打席で打率2割3分5厘、0本塁打、5打点、トンプソンは16打席で打率7分1厘、2打点と結果が出ておらず、外野がウイークポイントといわれている。