【シアトル(米ワシントン州)16日(日本時間17日)=四竈衛】過酷な日程も、良質な睡眠で元気ハツラツ-。エンゼルス大谷翔平投手(27)が、マリナーズ戦に「3番投手」の「リアル二刀流」で出場。6回3安打無失点と好投し、今季5勝目(4敗)を挙げた。打撃では、今季18回目のマルチ安打で11試合連続安打をマークし、19年の自己最長記録に並んだ。深夜移動のハンディをものともせず、前回9日はエ軍の14連敗、この日は3連敗で食い止める「連敗ストッパー」の大活躍だった。

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前夜、ドジャースタジアムでノーヒッターを砕く三塁打を放った大谷が、約24時間後、約1840キロ離れたシアトルで勝利投手としてエ軍ナインとハイタッチを交わしていた。序盤で球数を要したものの、6回無失点でまとめて5勝目。「スケジュール的にも体の状態が良く臨めてるという感じではなかったので、その割には球も良かったですし、動き的にも良かったかなと思います」。疲労感ではなく、少しホッとしたような表情で振り返った。

前夜のナイター後、空路移動したエ軍が、敵地宿舎に到着した時、時計はすでに午前4時を回っていた。メジャーで珍しいことでないとはいえ、通常、移動日なしで先発する投手は、チーム本隊から離れて「先乗り」するのが慣例。だが、DHでフル出場した大谷に、その選択はなかった。

だからこそ、大谷はリカバリーの最善策として良質の睡眠にこだわり続けてきた。寝具メーカー「西川株式会社」の睡眠コンディショニングサポート契約を受けて以来、今季が6年目。毎オフ、体の変化に応じて、枕、マットを特注し、遠征先でも愛用してきた。「しっかり睡眠の管理もしていい状態で臨めているので、継続していきたいなと思います」。5月のボストン遠征の際には、延長戦となったナイター翌日のデーゲームに先発。7回無失点の快投を演じたのも、人並み外れた「睡眠力」のたまものだった。試合後、ネビン監督代行が「昨日の今頃、彼は塁上を駆け回って三塁打を打っていた。それでいて、彼が今夜やったことは本当にすごいこと」と感服するほど、「寝る子」のエネルギーは別格だった。

前回登板の9日は、エ軍ワーストの14連敗を終結させ、この日は3連敗で食い止めた。だが、長らく惰眠をむさぼった過去数週間の影響で、依然として借金は「5」。寝ている間に果報が届く世界ではないだけに、大谷の好投&トラウト2発の快勝劇で、スッキリと目覚めたいところだ。

◆大谷の投球データ ストライク率59%(93球中55球)は、今季最多6失点した4月14日レンジャーズ戦を下回る今季最低。投球の球種はスライダーが最多41%(38球)で直球(34%=32球)より多かった。最多投球の球種が直球以外は、4月20日アストロズ戦に次いで8試合ぶり今季2度目。