エンゼルス大谷翔平投手(28)がレンジャーズ戦に「1番DH兼投手」で先発。6回8安打2失点で6敗目(9勝)を喫し、ベーブ・ルース以来104年ぶりの「2桁勝利&2桁本塁打」は持ち越しとなった。

その一方、11三振を奪って6試合連続2桁奪三振とし、球団記録の77年ノーラン・ライアンの7試合連続まで1試合に迫った。打席では4打数無安打だった。

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大谷は援護点がない中でも、1人で頑張っていた。スライダーが全体の51%、カットボールが13%と、2球種だけで全98球中63球を占めた。かなり偏った配球だが、相手打者を見て、タイミングが合っていないと感じたのだろう。特に右打者のガルシア(元巨人)は、スライダーさえ投げておけば大丈夫という状態だった。

最速100・5マイル(約162キロ)が出ていたように、直球が悪かったわけではない。スプリットも落ちていた。捕手スタッシにとっても、スライダーは簡単にストライクが取れる球種として選択していたのだろう。

ローの本塁打はともかく、5回にシーガーに打たれた適時二塁打はもったいなかった。スプリットとカット、スライダーで追い込みながら、最後にカーブが甘く入った。タイミングが合っていなかったが、直前のスライダーから7キロ遅い、135キロの遅い球に合ってしまった。ただし、反省すべきはこの1球だけ。8安打を打たれながらも、走者を置けばしっかりギアを上げ、6回まで2失点で投げきった。

長い回を投げようという意思が見えた。ストライク率69%と、無駄球を極力なくしている。4回から目先を変えてスプリットを増やし、最後の6回は真っすぐを増やした。ゲーム全体を見渡しての組み立てができている。三振は最低3球を要する。6試合連続2桁奪三振は、あくまで結果であって、多く取ろうと狙ってはいないはずだ。

チームが低迷し、モチベーションの維持が難しい状況だ。そんな中でも1回は無死満塁から3者連続三振。以前、秋まで優勝争いしたいと話していたが、そんな気迫が伝わってきた。精神的に厳しい中でも、周囲に流されることなく、踏ん張ってほしい。(日刊スポーツ評論家)