【アナハイム(米カリフォルニア州)2日(日本時間3日)=斎藤庸裕】メジャーのトレード期限が過ぎ、去就の行方が注目されたエンゼルス大谷翔平投手(28)は残留が決定した。

一方でブランドン・マーシュ外野手(24)、先発右腕ノア・シンダーガード投手(29)、守護神ライセル・イグレシアス投手(32)を放出してチームを“解体”。エ軍は両球団からマイナー選手らを獲得し、来季のプレーオフ進出を目指す形となった。アスレチックス戦に「2番DH」で出場した大谷は3日(同4日)に先発。ベーブ・ルース以来104年ぶりとなる「シーズン2桁勝利&2桁本塁打」の偉業に挑む。

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大谷は残り、仲間は旅立った。エンゼルスが、来季を見据えた戦いにかじを切った。期待の若手マーシュ、先発ローテの一角シンダーガード、守護神イグレシアスが他球団へ移籍。会見でミナシアンGMは「我々の現在地を見て、これからどうしていくか。我々のニーズも踏まえ、方向性としてこれがベストだと思った」と言った。チームの主力3選手を放出し、他球団からマイナーの若手選手らを獲得。来季以降のプレーオフ進出を目指すこととなった。

先発の柱だった左腕ヒーニーを放出した昨年と比べても、今季は思い切った決断だった。同GMは「素晴らしい選手をトレードで出すのはタフなこと。チームの勝敗からすれば、もちろん今年は思い描いたような年ではない」と語った。春先は好スタートを切ったが、投手陣を中心に崩れ、マドン前監督を解任した。現状はトラウト、レンドンら主力野手を故障で欠いており、昨年と同様の状態。シーズン残り2カ月の時点で、終戦を意味するトレードを断行した。

一方で、投打で主軸の大谷は残留。ヤンキースら複数球団からトレードの打診があったとされるが、同GMは「どの選手についても契約の交渉に関して明かすつもりはないが、我々はショウヘイが大好きだ。ショウヘイもここでのプレーを楽しんでいると思う」と前向きに話した。今オフの補強については「よりよいチームを編成する必要がある。それは私の責任。オフに、(来季)勝てるチームを作ることを楽しみにしている」と意欲を示した。

アスレチックス戦に「2番DH」で出場した大谷は第3打席で左翼線へ二塁打を放ち、塁上では笑顔も見せた。プレーオフ進出を強く望んでいる大谷からすれば、この先はモチベーション維持が難しい状況での戦いが続く。それでも、この日の試合前には通常通り、翌日3日(日本時間4日)のアスレチックス戦登板へ向け、31球のブルペン投球で準備を整えた。先を見据えながら、偉業をかけたマウンドに上がる。

◆大谷の今後の去就シナリオ 大谷は23年オフにフリーエージェント(FA)となる。エンゼルスは契約延長のメドが立たない場合、来季は1日ずつトレードでの市場価値が下がるため、今オフの放出が有力視される。投打二刀流の大谷は6人ローテーションとDHの専任枠が必要で、受け入れ側もオフのチームづくりの段階から組み入れが求められる。残留した場合は、23年シーズン中にトレードされる可能性もある。成立しなければシーズン後にFAとなる。大谷は「ひりひりするような9月を過ごしたい」と意向を持っており、エ軍にプレーオフ進出の可能性を感じなければ、移籍を決断する可能性は高い。

★移籍した3選手の今季年俸

シンダーガード=2100万ドル(約28億4000万円)

イグレシアス=1000万ドル(約13億5000万円)

23~25年は1600万ドル(約21億6000万円)

マーシュ=46万ドル(約6210万円)