【アナハイム(米カリフォルニア州)4日(日本時間5日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(28)が今季5度目の1試合2発と奮起し、メジャー通算本塁打数で日本人歴代2位タイに浮上した。アスレチックス戦に「2番DH」で出場し、23号先制ソロと24号ソロを含む5打数3安打。通算117本塁打は、マリナーズの球団会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏に並んだ。

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大谷が左に、右に、広角にアーチをかけた。1回1死の第1打席は、右腕ブラックバーンの外角直球を左中間へ。7回2死の第4打席は、左腕スニードの内角へ外れたスライダーを捉えた悪球打ち。肘をたたみ、技ありの1発を右翼席まで運んだ。ネビン監督代行は「今日も彼は非常にいい状態だった」と絶賛。先制の23号、反撃の24号で本拠地のファンを沸かせた。

今季5度目の1試合2発で通算117本塁打とし、イチローに並ぶ日本人歴代2位となった。5回には中前打も放っており、この日は3安打をマーク。左に流し、悪球を捉え、甘い球は中堅へ。まさに、少年時代から憧れているレジェンドのような、全方向への広角打法だった。

どんな状況であってもベストを尽くす姿が、大谷らしくもあった。2日に主力3選手をトレードで放出し、チームは来季を見据えた戦いに方針転換。昨年は8月下旬頃からプレーオフ進出が絶望的な状況になり、時期を同じくして本塁打王争いをしていた大谷も失速した。四球や敬遠が激増した影響に加え、モチベーションの保ち方にも苦しんだ。だが、今季は違う。前日の登板後には「士気高くやっていけてるわけではない」と吐露したが、チーム状態が不安定でも、活躍が勝ちに直結しなくても、安定して本塁打を積み重ねる。

5打数3安打2打点の活躍。前日の降板後には右前腕の張りを訴えたが、ネビン監督代行は「彼は大丈夫。(前日の途中交代は)大事をとってのものだった」と改めて軽症を強調した。チームは球団記録のソロ本塁打7本を放ちながら、ア・リーグ西地区最下位のア軍に競り負けた。大谷が2発の試合でチームは3連敗。打っても勝てない状況が続くが、大谷は屈しない。

▼大谷が2本塁打を放ち、メジャー通算117本塁打。日本人選手では175本で最多の松井秀に次ぎ、イチローに並ぶ2位となった。また、1試合2本塁打は今季5度目で、09年松井秀がマークした4度を抜く日本人最多。

▼エンゼルスが7本塁打を放ちながら7-8で敗戦。「ESPN Stats&Info」によると敗戦球団の本塁打数としては1試合最多タイで、7発打った球団の敗戦は21年7月28日のツインズ以来6度目。通算113勝6敗となった。ソロ本塁打ばかりで7得点は近代野球となった1900年以降でMLB史上初。19年ブルージェイズなどの6点を超えた。ソロ本塁打7本はメジャー6度目の最多タイ記録。過去5球団は4勝1敗だった。

▼大谷は今季5度目の複数本塁打。今季メジャーではジャッジ(ヤンキース)の9度に次ぐ2位タイ。球団でシーズン5度は、00年グラースの6度に迫る2位タイ記録となった。