大谷翔平投手(28)が所属するエンゼルスのアート・モレノ・オーナー(76)が23日(日本時間24日)、球団の売却を検討すると発表した。同オーナーは声明で「エンゼルスを20シーズンにわたって保有したことは光栄で特別なことだった。この難しい決断は深く考えるに値するものだったが、私と私の家族は最終的に今がその時との結論に至った。売却までの間は、ファン、従業員、選手、提携企業のことを最大限に考えて引き続き球団を運営する」などとコメントした。

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解説 モレノ氏が球団売却を劇的に発表した背景に、来オフ、FAとなる大谷の処遇が絡んでいることは言うまでもない。8月2日のトレード期限前、大谷との延長契約が難航するエ軍に対し、ヤンキース、ドジャースなど資金力豊富な強豪球団がトレードを打診。エ軍側は具体的な交換要員を提示するなど交渉が本格化した。最終的にはモレノ氏が大谷放出を拒否し残留が決まったが、その数週間後、同氏は球団の売却計画を劇的に発表した。メジャーの顔とも言われるトラウト、大谷のパッケージが顔を並べる状態で、突如「売り手」に回った。

現実的に、今のエ軍の資産価値は「大谷不在」であればより低くなる。裏を返せば、「大谷残留」ありきの売却。大谷の放出を阻止した上で球団売却に踏み切るのは、ビジネス的には当然なのかもしれない。モレノ氏にすれば23年以降、大谷が退団するか否かは新オーナー次第。子息が球団経営に熱心でないこともあり、「最高値」で売却できるタイミングが「その時」だったに違いない。

今後は、大谷と新オーナーの意思次第。ただ、常に「勝てるチーム」を求める大谷が23年以降、再建途上のエ軍でプレーする選択をするとは考えにくい。【MLB担当=四竈衛】