【トロント(カナダ・オンタリオ州)27日(日本時間28日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(28)が、カナダ初登板で初勝利を飾った。ブルージェイズ戦に「3番投手兼DH」で出場し、7回2安打無失点。今季最多109球の力投で9三振を奪い、11勝目を挙げた。今季通算128イニングを投げ、シーズン規定投球回の「162」まで残り6戦で34イニング。メジャーで史上初、投打のダブル規定到達が見えてきた。
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腕を振り、走り、スイングする大谷が、超満員のスタジアムを沸かせた。ドームの屋根が開き、気温22度の心地よい野球日和。両軍のプレーに大歓声が響き、時にため息が漏れ、ブーイングも上がった。大谷はその中心にいた。「ホーム、ビジターに関係なく、やりがいがありますし、選手冥利(みょうり)に尽きるかなと思います」。今季最多109球の力投を披露し、トロントでの初マウンドを目いっぱい楽しんだ。
試合前にはブルージェイズのワールドシリーズ制覇から30周年の記念セレモニーが開催され、カナダ国歌の合唱が起こった。チケット完売の観衆4万5311人。完全アウェーだろうが、何だろうが、大谷はベストを尽くす。その姿は変わらない。4日前、球団が売却される方針が明らかになった。「どうなっていくのかも正直見えていないので、今この状況で頑張ることが、唯一できること。シーズンをしっかり、あと1カ月、やり切りたい」。最後まで全力。二刀流を突き動かすのは、足を運んでくれるファンであり、目標だった。
序盤、158キロ前後のツーシームを6球使った。高速でシュートして沈み、横の変化量は最大16インチ(約40センチ)。進化を続ける新球は「動きも良かったですし、スピードもコースも申し分なかった」。中盤以降は直球とスライダー主体に切り替え、「最初の3イニングはいい投球ではなかった。そこから粘れたのが良かった」と、ほぼ完璧に封じた。打席では2打数無安打ながら、6回無死一、二塁から投ゴロの併殺崩れで全力疾走。一度はアウトの判定も、ビデオ検証でセーフに覆った。懸命なプレーが、その後の先制点につながった。
今季通算128イニングを投げ、シーズン規定投球回の162まで残り6戦で34イニングとなった。5年目のシーズン終了まであと1カ月とちょっと。疲労が蓄積する中で「一番はやっぱり睡眠。最後の1カ月の方が体的にもきついと思うので、より大事になってくるかなと思います。しっかり休んで、また明日頑張りたい」。カナダで初の二刀流を終え、額ににじんだ汗に疲労感はない。むしろ、次戦へ向けてワクワクしているようだった。
▼エンゼルス大谷は9三振のうち直球で5三振を奪った。直球で5奪三振は開幕戦の「4」を抜いて今季最多。25球投げた直球は平均球速が98・0マイル(約157・7キロ)で、6試合ぶりに98マイル台に乗った。直球の1分あたりの回転数は平均2343で、5月5日レッドソックス戦の2321を上回る今季最高。今季これまで1球しかなかった2900回転以上が、4球(直球3、ツーシーム1)あった。
▼大谷はエンゼルスで最多の523打席に立ち、投球イニングも最多の128回。スタッツパフォームによると、両方をチーム最多で終えると、1876年のジム・デブリン(グレイズ)以来146年ぶり、1900年以降の近代野球では初の快挙となる。ベースボールリファレンスによると、デブリンは622回を投げ、299打席に立っている。チーム69試合のうち68試合で登板し66完投。



