ポスティング制度でメジャー移籍を目指していたオリックス吉田正尚外野手(29)が7日(日本時間8日)、レッドソックスと合意したことが分かった。複数の米メディアが伝えたもので、5年契約で総額9000万ドル(約126億円)。入札金は1540万ドル(約21億5600万円)で、オリックスが受託すれば正式契約となる。

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異例のスピードで吉田の交渉が決着した。オリックスが正式にポスティングを容認した後、メジャー全球団との交渉が解禁となったのは、米西部時間7日午前4時。そのわずか12時間足らずの午後3時半過ぎ、複数の米メディアから「レッドソックスと吉田が合意」との一報が流れた。

レ軍は、交渉開始前から移籍先の有力候補に挙げられていた。というのも、今季のレ軍は1番打者が固定できず、1番の平均打率は2割3分5厘、出塁率2割9分5厘で、しかも計182三振。リードオフマンがまったく機能せず、地区最下位の一因にも挙げられていた。過去2年連続出塁率トップで今季打率3割3分5厘の実績を残した吉田は、選球眼が良く、三振数も少ない。「1番左翼」を探していたレ軍にとって、理想の選手だった。資金力が潤沢なだけでなく、「インフレ」となった今オフのFA市場で、レ軍が多額の投資をためらうことはなかった。

他球団のスカウトからは吉田の守備力をマイナス材料として指摘する声も聞かれたが、レ軍の本拠地フェンウェイパークの左翼は、「グリーンモンスター」がそびえ立つため、必ずしも広範囲の守備力は求められていない。外野手のFA市場では、前日にベリンジャーがカブスと合意し、この日早朝にはジャッジのヤンキース残留が決定するなど、動きが活発化していた。

現時点で、ハイム・ブルーム最高編成責任者はコメントしていないが、これまで地元メディアに対し、「とてもいい打者で、打席の質が高く、すばらしい才能がある」と、最高級の評価を示していた。今後、他球団が具体的なオファーを出すことも予想されたが、その機先を制してレ軍が速攻勝負を掛け、吉田獲得に成功した。