【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)26日(日本時間27日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(28)が侍ジャパンからチームに再合流後、初のオープン戦で安打を放った。

ドジャース戦に「3番DH」で出場し、4回2死の第2打席で左腕カーショーから右前打。「大谷シフト」のない一、二塁間を抜いた。6回の第3打席では、今季から導入される「ピッチクロック」のルールが適用され、打者有利のカウントになるアドバンテージも得た。開幕までオープン戦は残り2試合。投打で万全の状態を整える。

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23年シーズンは、二刀流の大谷に追い風になるのか。4回2死、通算197勝でサイ・ヤング賞3度のカーショーの初球スライダーを捉えた。打球は右前へのクリーンヒット。比較的、広く空いた一、二塁間を抜けた。昨年までは、右翼のフィールド付近を二塁手が守り、一、二塁間を3選手で守る「大谷シフト」で安打を阻まれるシーンが多かった。今季から極端なシフトが禁止されることで、ヒットゾーンが広がる。その恩恵を受ける安打となった。

昨年、大谷にシフトが敷かれた割合は88・3%で両リーグ21位。三塁付近ががら空きでシフトの裏をかく安打もあったため、一概に打率が上がるとは言えないが、引っ張った打球はヒットになりやすい。この日の安打は打球速度104・9マイル(約169キロ)で、さほど強い当たりでなくても内野手の間を抜けた。

アドバンテージは打席中にもあった。6回2死、カウント1-1からカーショーが投球モーションを途中でストップ。その後、自動的にボールとカウントされた。走者なしの場合、捕手からボールを受けて15秒以内に投げる必要がある「ピッチクロック」の新ルールが適用。労せずして、ボール先行となった。続く4球目のスライダーを大谷は捉えた。高く上がりすぎ、柵越えとはいかなかったが、打者有利のカウントからのフルスイングだった。

もちろん、投手でもある大谷は新ルールに適応していく必要がある。この日の試合は2時間8分で終了。エ軍のネビン監督は「野球にとって、いいことだと思う」と話し、カーショーは「(球場で)ビールが十分に売れてくれればいいけど」と笑い、極端に短い試合時間を皮肉った。野球独特の間合いが短縮され、投打でプレーする大谷にどう左右するか。今季は、結果だけではない見どころもある。

◆シフト使用率 大谷は昨季88・3%(652打席中576打席)の割合でシフトを敷かれた。これはメジャー全体で21位(100打席以上)。昨季の左打者の平均は55%だったことから、シフト割合が高いことが分かる。年度別では18年46・7%、19年34・2%、20年51・4%、21年75・2%と、ここ2年で急増。通算打率はシフト有りで打率2割5分4厘、シフトなしで打率2割9分2厘と、シフトなしの方が4分近く高い。

◆守備シフトの制限 MLBが今季から導入する新ルールの1つ。投手が球を投げる瞬間まで、内野手は外野の芝より内側で、二塁ベースを挟んで左右に2人ずつ位置を取るよう規定された。