エンゼルス大谷翔平投手(29)が、チーム愛をあらためて示した。トレード期限を前に残留の方針が固まり、入団6年目で愛着もあるエ軍の一員として、プレーオフ進出を目指すことが決まった。左有鉤(ゆうこう)骨の骨折でリハビリを続けているマイク・トラウト外野手(31)は早ければ8月中、シーズン終盤に復帰が見込まれる。3月のWBC決勝で実現した大谷とトラウトの名勝負から始まった23年のベースボール。最後まで「トラウタニ」が主役で盛り上げる。

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大谷は勝ちたい。エンゼルスで。ダブルヘッダー第1試合後、思いを語った。

「ここまでプレーしてきたチームなので、ファンの人たち含めてもちろん大好きですし、最後までこのチームでしっかり、今年まずプレーオフ目指して、その先も目指して頑張りたい」

チーム愛を隠すつもりもない。6年目、愛着は当然ある。3月のWBCで侍ジャパンを世界一に導いてから数日後、エ軍のキャンプ地に戻り、感じるものがあった。「久々にみんなの顔を見て、このチームでも優勝したいなという気持ちになりました」。悔しさも喜びも共有してきた仲間と、頂点を目指す。胸に秘める思いは今も変わっていない。

勝利への貪欲さは、兄貴分のトラウトも同じだ。ここ最近で再燃したトレード報道にも、大谷の残留を信じていた。「ビッグニュースだね。(前夜)ホテルの部屋で横になっていたんだけどね」とリラックスしながら一報を目にしたことを明かし、「ショウヘイに関するいろんなうわさがあったけど、僕はなんとなく、どこにも行かないと分かっていた。良かった。うれしいね」と声を弾ませた。

メジャー1年目の18年からともに戦ってきた「トラウタニ」。悲願のプレーオフへ、ようやくチャンスが巡ってきた。トラウトは左手の有鉤骨の骨折から復帰へ向けて調整中だが、大谷は「ずっと(トレード市場でチームが)売り手側の状況だったので、今年こういう経験も初めてですし、新しく来た選手とまずしっかりコミュニケーションを取りながら、もっともっといいチームになって頑張りたい」と、リーダーらしく意気込んだ。

開幕前、3月のWBC決勝は、日本代表の大谷と、米国代表の主将トラウトのドリームマッチで幕を閉じた。ネビン監督は当時、「ああいう雰囲気やドラマを作れるのは野球しかない」と語っていた。ありえないような奇跡も起こり得るのが、ベースボール。可能性を信じ、球界最強コンビがプレーオフの逆転進出に導く。【斎藤庸裕】

 

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