メッツ千賀滉大投手(30)が27日(日本時間28日)、今季最終先発となる本拠地マーリンズ戦に先発し、5回3安打2失点で8奪三振と好投。勝敗はつかなかったものの、日本人メジャー1年目としては、史上4人目となる年間200奪三振を達成した。規定投球回数にも到達し、来季以降はエース格としてメ軍の再建を担うことになる。

  ◇  ◇  ◇

「200K」のボードを掲げる地元ファン総立ちの大歓声にも、千賀は顔色ひとつ変えることなく、ベンチへ向かった。初回、1番バーティーに、今季29試合目で初めて「お化けフォーク」の被弾となる先頭打者弾を浴びた。それでも、冷静さは変わらない。1回2死からは5者連続三振と一気に積み重ねた。3回2死から3番バーガーをフォークで空振り三振を奪い、年間200奪三振に到達。「シーズン後半にかけて目標にしていた数字だったので、達成できて良かった」。試合後、漏らしたコメントに本音がにじんだ。

1回2死を奪い、先発投手の評価基準のひとつでもある規定投球回数「162回」に到達した。ソフトバンク時代の19年、自身最多の180回1/3を投げたとはいえ、メジャー関係者の中では、開幕前の時点で千賀のシーズンを通してのスタミナを心配する声が聞かれた。「ケガなくということは1番の目標に置いていた」。中4~5日の登板間隔も徐々に対応し、ローテを飛ばすことなく、29試合に先発。新人王争いではキャロル(ダイヤモンドバックス)に続く評価を受け、サイ・ヤング賞争いでもスネル(パドレス)ストライダー(ブレーブス)らを追う位置につけた。

優勝候補最右翼に挙げられながら、メ軍は序盤から波に乗れず、大黒柱のバーランダー、シャーザーを相次いで放出。終盤は「消化試合」での登板が続いた。「チームがなかなか勝てなくて、自分の気持ちが乗らなくて…」と、苦しかった胸の内も明かした。

あと1勝と迫る日米通算100勝(NPBで87勝)は、来季へ持ち越しとなった。「僕がエースと呼ばれないような補強をしてほしい。周りの見る目も違ってくる。“どんなもんや”から、“働いてもらわなきゃ困る”というように。プレッシャーをかけながらオフを過ごしたい」。確かな手応えも、やり残したことも、すべては来季への糧。名実ともに「エース」となっても、千賀のやるべきことに変わりはない。

 

▼千賀が8奪三振でシーズン202奪三振。日本人投手が1年目で200奪三振以上は、95年野茂(ドジャース=236個)、07年松坂(レッドソックス=201個)、12年ダルビッシュ(レンジャーズ=221個)に次いで4人目。1年目で規定投球回到達は野茂、吉井、松坂、黒田、ダルビッシュ、前田に次ぎ7人目になり、7人のうち防御率2点台は95年野茂(2・54)以来2人目。防御率はリーグ2位をキープし、このまま2位で終えれば1年目に限らず95年野茂、20年ダルビッシュに並ぶ日本人最高順位となる。