【スコッツデール(米アリゾナ州)7日(日本時間8日)=四竈衛】オリックスからポスティング制度を利用してメジャー移籍を目指す山本由伸投手(25)に対し、ヤンキースがいよいよ本腰を入れて獲得を目指すことが7日(日本時間8日)、確実となった。すでに、ブライアン・キャッシュマンGM(56)らフロント首脳が直接視察。スタインブレナー・オーナーも積極補強へ大号令を下しており、オリックスが正式に手続きを終え次第、具体的な交渉に乗り出す見込みとなった。
◇ ◇ ◇
温暖な陽光が降り注ぐGM(ゼネラルマネジャー)会議会場の高級リゾートで、いつもは特定の選手についてはコメントしないキャッシュマンGMが、当時の衝撃を思い起こすかのように話し始めた。今年9月9日、山本がロッテ戦でノーヒッターを達成した一戦を、同GMはバックネット裏の最前列で観戦した。
「どこでもノーヒッターを見るのは素晴らしいギフトだが、日本で見られるとは驚きのギフトだった。ノーヒッターをホームプレートの後ろから見られたのは幸運だった。クールで特別な瞬間だった」。近年のメジャーはチケットがデジタル化されているものの、同試合は印刷された紙のチケット。コレクターの同氏は「一生持っておく。それで息子にあげるよ」と、あらためて快投を絶賛した。
そもそも、同GMが海外まで足を運んで特定の選手をチェックするのは、17年に当時日本ハム大谷の視察などがあるが希少だ。今回は大ベテランのミナヤGM特別補佐も同行するなど、決定権を持つ編成のトップ2が、シーズン中にもかかわらず、最終的な山本のスカウティングを優先して来日した。
今オフのFA市場では、大谷に次ぐ2位にランクされる山本には、6年総額1億5000万ドル(約225億円)以上の資金が必要とみられているが、支援体制に問題ない。この日、オンライン会見に応じたオーナーのハル・スタインブレナー氏は、16年以来7年ぶりにプレーオフ進出を逃した今季を厳しい言葉で振り返った。「ひどかった。我々は何も成し遂げていない」。公式戦終了後には、キャンプ地のタンパに主要スタッフが集結し、連日、約8時間にも及ぶミーティングを行い、問題点を徹底的に洗い直した。「我々はできることのすべてをやる」。パドレスとの間で大砲ソトのトレード交渉を進めているとの情報もあり、覇権奪回へ向けて、同氏は並々ならぬ決意をにじませた。
正式手続き後、山本との交渉期間は45日間。「我々は幸運にもすばらしい日本の選手との歴史がある。これからも前に進んでいくことを望みたい」。キャッシュマンGMの口調と表情は、実質的な「参戦表明」のようだった。
<ヤンキースに所属した日本選手>
◆伊良部秀輝 ヤ軍初の日本選手として97年に入団し99年まで所属。この間にチームは2度の世界一に。
◆松井秀喜 03年に野手で初めて入団。新人から2年連続で球宴に選出、09年ワールドシリーズMVP。
◆井川慶 06年オフに5年契約で入団も、不振のためメジャーでは07年から2年間で16試合に登板しただけ。
◆五十嵐亮太 12年5月にブルージェイズを戦力外となりウエーバーで移籍。ヤ軍では2試合に救援登板。
◆黒田博樹 12年にFAでドジャースから移籍しヤ軍では3年間で通算38勝33敗、防御率3・44と活躍。
◆イチロー 12年7月23日にマリナーズから電撃トレードで移籍。ヤ軍では約2年半で打率2割8分1厘。
◆田中将大 14年から7年契約で入団。20年まで通算78勝46敗、防御率3・74、15年から3年連続開幕投手。



