【ナッシュビル(米テネシー州)5日(日本時間6日)=四竈衛、斎藤庸裕】大本命が堂々と沈黙を破った。ドジャースのデーブ・ロバーツ監督(51)が、エンゼルスからFAとなっている大谷翔平投手(29)と数日前にドジャースタジアムで面談を行い、大谷獲得が「トップ・プライオリティ」であることを明言した。歴史的FAの争奪戦で大本命とみられているド軍だが、大谷サイドから情報漏えい禁止のかん口令を敷かれる中で大々的に公表。ベールに包まれてきた各球団との交渉の状況に、一石を投じた。

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16年にドジャースの監督に就任して以来、過去8年間で7回の地区優勝、20年世界一の実績を残しても、ロバーツ監督が、偉そうな態度を取ることはまず見たことがない。答えにくい質問でも、たどたどしい英語でも嫌な顔ひとつせず、丁寧に応答する。親切な態度、柔和で謙虚な姿勢は、アフリカ系米国人で元米国海兵隊勤務の父ウェイモンさんと沖縄出身の母栄子さんの両親譲りに違いない。

沖縄・那覇市生まれのロバーツ監督は、父の転勤で複数の基地を転々とした後、サンディエゴに定住。文武両道の優等生として育ち、名門UCLA卒業後、メジャー入りした。母栄子さんによると、幼い頃はカレーライスとおにぎりが大好物だった。就任直後には前田健太が入団。ロバーツ監督自身は日本語が話せないだけに、栄子さんは「私がもっとしっかり教えておけばよかった」と悔やんでいたが、持ち前のコミュニケーション力でチームをまとめ上げ、常勝軍団を築き上げた。

厳格だった父と心優しい母のDNAを受け継ぐロバーツ監督。不要な忖度(そんたく)はせず、「ウソをつきたくない」と、現状を明かした潔さと日本人本来の道徳心を結びつけるのは、少しばかり強引だろうか。【MLB担当=四竈衛】