今回は「ノーヒットノーラン」にまつわるエピソードをご紹介します。ドジャース大谷翔平投手が5月27日(日本時間28日)のロッキーズ戦に「1番DH兼投手」で出場し、6回無安打1失点で5勝目をマーク。6回ノーヒット投球も4与四球で制球が安定せず、いら立ちを見せていましたが、もう少しで継投ノーヒッターが達成されるところでした。
ドジャースと言えば、1962年にドジャースタジアムが開場して以来、投手有利な本拠地球場の特性を生かすため、投手力と守りを中心としたチーム作りで一時代を築きました。それによって伝統的な「投手王国」をもたらし、これまでメジャー30球団中最多の23度もノーヒッターを達成しました。
中で最も有名なのは、史上最高の左腕サンディ・コーファックスでしょう。55年のデビュー当時は平凡な投手でしたが、61年に力を抜いて投げたところ大変身。62~65年まで4年連続ノーヒットノーランの偉業を成し遂げ、最後は球団史上初の完全試合をやってのけました。
それと我々にとっては、やはり日本人大リーガーのパイオニア野茂英雄投手です。96年9月17日に敵地デンバーのロッキーズ戦で日本人初のノーヒットノーランを達成。標高1600メートルで空気が薄く、よく打球が飛ぶことから「打者天国」として知られるクアーズフィールドで、史上唯一の偉業達成となりました。
その後、野茂は2001年レッドソックス時代に自身2度目のノーヒットノーランを達成。最優秀投手の代名詞であるサイ・ヤング、ジム・バニング、ノーラン・ライアンと、殿堂入り3人に次ぐ史上4人目の「両リーグでのノーヒットノーラン達成」という歴史的偉業となりました。
ところで、元祖二刀流ベーブ・ルースは継投ノーヒットノーランがあります。1917年6月23日セネタース(現ツインズ)とのダブルヘッダー第1試合に先発し、初回先頭打者にフォアボールという判定に激怒し、球審にパンチを浴びせました。すると、ア・リーグ史上初の暴行事件で退場処分となりました。
しかし、ルースに代わってアーニー・ショアが急きょ登板すると、一塁走者が二盗失敗。その後、何と26人の打者をパーフェクトに抑えました。その後のルールで完全試合は認められず“幻のパーフェクト”となり、ルースの世にも珍しい継投ノーヒッターとなりました。
これまで大谷も18年エンゼルス時代に本拠地投手デビュー戦で、アスレチックス相手に7回1死までパーフェクトの快投。22年9月29日には同じくアスレチックス戦で8回2死までノーヒッターを演じるなど、幾度となくノーヒッターか? という快投を見せてきました。
ちなみに、ドジャース3年目の山本由伸投手はオリックス時代、日本プロ野球史上10人目の2度ノーヒットノーランを達成。昨年9月5日のオリオールズ戦では9回2死までノーヒットノーランを演じ、史上初の日米ノーヒッター達成か? と騒がれました。
また、ドジャース2年目の佐々木朗希投手もロッテ時代、22年4月10日のオリックス戦で日本プロ野球史上16人目、史上最年少20歳で完全試合を達成。こうしてドジャースの日本人3人を見ると、どの投手にもノーヒッターの可能性がありそうです。
はたして、メジャー記録を更新する球団史上24度目のノーヒッター達成は誰か? 今後も大谷はじめ日本人トリオの快投に注目したいと思います。【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)




