ドジャース大谷翔平投手(31)が、メジャー8年目で自己最多の55号本塁打をマークした。今季は5月に自身の月間最多タイ15本塁打を記録し、9月に再び量産ペースを上げた。一貫して打撃で重視するのは打席での構えと見え方。MLB公式のデータサイト「ベースボール・サバント」では1試合ごとのスタンス幅や体の開き具合の角度を公開。大谷はシーズンを通して、ズレが生じては修正の繰り返しで安定感を生み出していることが分かる。構えた時点で勝負が決まるという打席でのせめぎ合いに迫った。【斎藤庸裕】
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打者としての戦いは、相手投手だけではない。打席内で1角度、1インチ(約2・5センチ)単位ごとに自分との戦いが繰り広げられていた。左投手の際は右足を引き気味に、体を開いて構える。その角度の今季平均は14度だが、今月13日の敵地ジャイアンツ戦では20度まで開いていた。右足のつま先も投手方向へ開き、極端なオープンスタンスとなっていた。ベイツ打撃コーチは「彼は左投手に対して体が開きすぎると悪くなる。気付かないうちに、そうなってしまう」と語った。
翌日に修正し、体の開きとつま先を三塁側へ向ける意識に変えたという。その時の体の開きは16度。肉眼では分かりにくいが、わずかな変化を加えたことで、センターから左方向へ力強い打球が飛んだ。
両足のスタンス幅もその都度、変動する。対右投手で構えた時の今季の平均は36・8インチ(約93・5センチ)だが、8月は38・3インチ(97・3センチ)まで広がっていた。シーズンを通じて、体の開きや両足の位置をずらすことなく保ち続けるのは難しい。同コーチは「意識して『今日は広くする』と思ってやっているわけじゃない。疲労とか(投手で)ピッチングをした後に広がったり、体の角度が開く傾向がある。彼は狭い方が動きを速くできる」と説明する。
6月16日に二刀流に復帰して以降、徐々に強度を上げてきたことを踏まえれば、7月から8月にかけて構えの状態が悪化したのだろう。加えて、相手バッテリーの厳しいマークで内角を突かれることで、徐々に形が崩れていくこともある。同コーチによると、大谷は今季ベスト月間だった5月(対左投手の体の開き13度、両足幅36インチ=約91・4センチ)の状態を維持したかったという。自然と構えが崩れたが、コーチ陣との映像分析や話し合いで修正を重ねた。
7月末、打席間の空き時間にバットを足元に置き、スタンス幅を測る姿があった。シーズン最終戦のこの日も、ネクスト・バッタースボックスで同じように確認作業を行った。ベイツ打撃コーチは「自分の感覚と実際には違っていたりする。でもショウヘイは素直に意見を受け入れるし、話せばすぐ理解してくれる。課題に対して、取り組みやすい」と語った。自ら工夫をこらしながら、データや映像で客観的な視点も重視する。“自分超え”は、細部の修正のたまものだった。



