麟太郎の決断や、いかに-。MLBの今季ドラフトが、オールスター直前の11日(日本時間12日)から2日間にわたって、フィラデルフィアで行われる。昨年のNPBドラフトでソフトバンクから1位指名されたスタンフォード大の佐々木麟太郎内野手(21)も有力候補の1人。日米両国からの「ダブル指名」となれば、両国間での争奪戦がスタートする。MLBドラフトは、どのように開催されるのか。その側面、日本との違いなどを探る。【構成=四竈衛】

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「Rintaro Sasaki」は、その名前だけでなく、存在感もすでに米球界関係者の中で広まっていた。6月23日から行われた、ドラフト上位指名有力選手が集う「ドラフトコンバイン」(米アリゾナ州フェニックス)で、佐々木は持ち前の傑出したパワーを、出し惜しみすることなく披露した。

初日のフリー打撃では、参加選手中2番目となる約140メートルの特大アーチをかけるなど、あらためて「メジャー級」を実証した。今やアマレベルでも細かいデータが数値化される時代。メジャー各球団のスカウトであれば、佐々木ならずとも、有力選手のデータを分析済みのはずだが、木製のバットでも飛距離の変わらない弾道は、迫力十分だった。メジャーの編成担当が熱視線を送る中、同イベントに参加した佐々木は、率直な思いを口にした。

「ハイスクールの選手は初めて見る選手が多かったですけど、みんなレベルが高いなという印象。みんな招待されて来ている形なので、このレベルの高さというのを感じてますし、自分自身もまだまだ上げていきたいなと思うところ、改善できるところはいっぱいあるので。いい刺激になったと思います」。

高校卒業後、故郷の岩手を離れ、過去2年間、米大学球界で言語、文化の違いを肌身に感じつつ、心身ともにもまれてきた。MLBドラフトを目前に控え、あらためて米国球界の層の厚さを再認識したかのように、言葉をつないだ。

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米国で「ファーストイヤー・ドラフト」と呼ばれるドラフトは1965年、リーグ全体の戦力均衡を図る目的で導入された。当時は指名人数も制限なしだったが、98年に50巡目、12年には40巡目、マイナー球団が削減された21年以降は20巡目までと、年々「狭き門」となった。

もっとも、日本のように「プロ志望届」を出す必要はなく、米国、カナダ、プエルトリコの有資格選手すべてが対象とされる。指名は前年の公式戦の下位球団からの完全ウェーバー方式で、上位6位までは、ポストシーズン未進出の18球団による抽選で指名順位が決められる。今季の場合、すでに(全体1位)ホワイトソックス、(同2位)レイズ、(同3位)ツインズ…と決まった。

その一方で、年俸総額が「ぜいたく税」の対象となる球団は、指名順位を10位下げるペナルティーを受けるため、本来であれば、昨季のワールドシリーズ覇者で全体30位のドジャースは、今回は40位まで指名できない。このほか、メッツ、ヤンキース、フィリーズ、ブルージェイズも10位下げられる処置を受けた。また、契約金の高騰を避けるため、「ボーナスプール制度」が定められており、上限を設定。交渉期限は基本的には7月末までと、極めて短期間での交渉が前提とされるのも、有力な代理人が介在するメジャーの特徴と言っていい。

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実際、佐々木は今回のドラフトを前に、どのように評価されているのか。

マイナーリーグの公式サイトでは「トップ200」から漏れているものの、専門局「ESPN」は5月中旬の段階で153位にランク。今回の「ドラフト・コンバイン」後は、佐々木のフリー打撃の動画をはじめ、飛距離、打球速度がSNS上で注目されるなど、プラス要素が増している可能性は高い。

すでにソフトバンクとの本格交渉を開始した佐々木は、一時帰国前の段階で、MLBドラフトの結果を受け、最終的に決断する意向を明かした。

「こういう立場に置かれて、自分自身も光栄に思うんですけど、まだまだ未知数。これから始まるので、まだ何も見えていない状況ですけど、楽しみですし、プレッシャーもあるんですけど、自分が歩んでいける道。覚悟と責任を持って対応していきたいと思っています」。

ソフトバンクか、メジャー球団か、大学継続か。花巻東の大先輩、大谷が常識を覆す「二刀流」で歩んできたように、だれもができなかった道を選ぶのか-。

人生を左右しかねない、重大な決断を前にしても、「楽しみ」と言い切った21歳の佐々木が、悔いを残す決断をするとは思えない。