米大リーグの投手で肘の内側側副靭帯(じんたい)再建手術を初めて受け、手術名となっているトミー・ジョン氏が15日、フロリダ州ブレイデントンの自宅で死去した。83歳だった。

メジャー通算26年間で288勝は、殿堂入りしていない投手ではクレメンスに次いで2位。手術後に164勝を挙げ、大谷翔平、松坂大輔ら2600人以上のメジャーリーガーや村田兆治、桑田真澄ら多くの日本投手の先駆者となった。

ドジャースで31歳だった1974年9月25日、左肘の上腕骨と尺骨に穴を開け、右前腕から移植した腱(けん)を8の字に結ぶ4時間の手術を受けた。施術した球団ドクターのフランク・ジョーブ博士は、成功率1%と説明。ジョン氏は博士に「あなたは素晴らしい医師で、私はあなたを信じている。でも、あなたは間違っている。私は復帰する」と言ったという。左手指の感覚を失っため、神経損傷を修復する2度目の手術を受けた。

リハビリで75年シーズンを全休し、76年に31試合で10勝を挙げて復活した。以降、46歳まで現役を続け、5年連続を含む9度の2桁勝利を挙げた。手術後にしていたギプスはスミソニアン博物館に寄贈され、19年には手術名が英語辞典「メリアム=ウェブスター」に用語登録された。