24日のマーリンズ戦で左ひざを負傷したレイズ岩村明憲内野手(30)が25日(日本時間26日)、フロリダ州内の病院で精密検査を受け、「左ひざ前十字靱帯(じんたい)断裂で全治8カ月」と診断された。前日の試合の守備で、二塁ベース上でタックルのようなスライディングで倒され負傷した。3週間以内に手術を受け、今季の出場は絶望。左ひざの別の靱帯と左足首の靱帯も痛める重傷で、来季開幕にも影響する可能性もある。

 衝撃が走った。精密検査が終了してすぐ、球団から「岩村が今季絶望となる手術を受けます」と発表があった。野球選手では症例の少ない左ひざの「前十字靱帯断裂」。しかも同内側側副靱帯と左足首の三角靱帯にも損傷が見つかって、今季絶望の重傷だった。

 球団発表によると両損傷に関しては手術の可能性は低いが、それぞれの腫れが消えるのを待って、2、3週間以内に手術を受ける。診察を受けた岩村はこの日、ブログで「今シーズン中の復帰は無理みたいです。まだ5月なのに、シーズンを終えなければいけない悔しさがあります。昨日の今日で、まだ気持ちの整理がつきません」と落胆を隠せなかった。

 24日のマーリンズ戦8回の守備で、投ゴロで二塁ベースカバーの際に負傷した。一塁送球を妨害しようとした一塁走者が、タックルのような形でスライディング。体重が岩村のひざ付近に乗った格好だった。ひざを押さえて立ち上がれなくなった岩村はカートで退場していた。

 今年3月にはWBC代表で日本の2連覇に貢献。メジャー3年目の今季は44試合に出場し打率3割1分、16打点と、ア・リーグ連覇を狙うチームを引っ張った。昨年はチームトップの152試合に出場。マドン監督が最も信頼を置く選手の1人だった。

 相手に非がある不可抗力とはいえ、契約に影響するのは必至だ。今季は3年契約の最終年。球団側が来季425万ドル(約4億円)で契約更新できるオプションを持っており、岩村は「今年は大事な年だから」と、並々ならぬ決意だった。現時点で球団首脳は「来春キャンプに間に合わせてほしい」と契約更新をにおわせているものの、契約に関してはシビアな世界。今後のリハビリ次第では流動的だ。今季年俸325万ドル(約3億875万円)は、野手陣では4位の高給。レ軍は昨季より総年俸を約2000万ドル(約19億円)も増やしており、増額は厳しい状況だ。ゾブリスト、アイバーら控え内野手が成長しており、岩村の契約延長を見送る可能性がゼロという状況ではない。

 岩村を欠くレ軍はこの日、インディアンスにサヨナラ負けした。6点リードの9回、まさかの7失点という大逆転負け。マドン監督が「岩村は最高だった。攻撃面、守備面、チームへの献身、ベースランニング…。すべてが向上していた」という内野の精神的支柱を欠いた結果だった。「全治8カ月」の見通しも、プレーの質を求めれば、今後の選手生命にも影響しかねない大ケガ。岩村はブログで「今はただどうやってリハビリを乗り越えていくかだけを考えたい。何苦楚魂ですね」と不屈のハートを奮い立たせたが、窮地に立たされた。