【フェニックス(米アリゾナ州)11日(日本時間12日)=四竈衛】82回目を迎える大リーグのオールスターが今日12日(同13日)、同地で初めて行われる。2000年以来の日本人選手不在の球宴。ジーター、Aロッド(いずれもヤンキース)、レイエス(メッツ)をはじめ16選手が故障などの理由で出場できない異常事態となった。

 前日の公式会見。先発メンバーを発表した両軍監督は複雑な胸の内を明かした。ア・リーグのワシントン監督(レンジャーズ)は「(選出の)システムはうまくいっているし、代わりの選手も出場するに値する」と慎重に言葉を選んだ。その一方で「バーランダー(タイガース)、サバシア(ヤンキース)、ヘルナンデス(マリナーズ)は必要だった」。ナ・リーグのボウチー監督(ジャイアンツ)も「投手は問題ない」としながら「三塁手がいなくて、一塁手が3人。選択は難しかったよ」と漏らした。

 3日の選手発表以来、辞退者が続出した。昨季から前半戦最終戦に先発した投手が登板できない規定が適用されたこともあり、前日には駆け込みで登録選手10人の変更が発表された。ア軍で2人、ナ軍で3人が、ファン投票で選出されながら出場を辞退。権威と名誉のあるメジャーの球宴としては、極めて異例だ。

 通算3000本安打を達成したばかりのジーターの辞退には批判の声も聞こえた。宿敵レッドソックスのオルティスは「彼はいい選手だし、人間的にもすばらしい。今回は球場外でエンジョイすればいいよ」とチクリ。ベケットは「1000本塁打を打とうが、5000本安打を打とうが、誰でもこの場所にはいたいはずだけどね」と、強烈な皮肉を送った。ジーターは記録達成前日に出場辞退を発表したが、プレーできることは確かなだけに批判噴出も当然だった。

 メジャーの球宴ではファン投票で選出された選手は、出場できなくても球場に姿を見せるのが「不文律」とされる。実際、故障で辞退したレイエスらは会見に出席したが、ジーターとAロッドは欠席。人気球団のスター選手の球宴軽視とも取られかねない対応に、今後は規定変更を含め、物議を醸しそうな気配だ。