【シカゴ(米イリノイ州)3日(日本時間4日)=高山通史】レンジャーズ・ダルビッシュ有投手(25)のオールスター初出場に向けて、強力サポーターが登場した。メジャー最多奪三振の記録を持つレ軍のノーラン・ライアン球団社長(65)が球団公式サイトの「MLB.com」でのインタビューでダルビッシュを絶賛。集票力が期待できる宣伝効果十分の賛辞の嵐を贈った。インターネット投票で「最後の1人」が選ばれる球宴の残り1枠奪取へ、追い風が吹いた。投票は米東部時間5日午後4時(日本時間6日午前5時)に締め切られ、結果は同日に発表される。

 価値ある働きを続けるダルビッシュを、夢舞台へ-。ライアン球団社長が、実力を認める新人右腕を「間接的」に強力に宣伝した。メディアへの露出には慎重で知られる同社長のインタビューがこの日、「MLB.com」にアップされた。トップ得票の1人がオールスター切符をつかむア・リーグ5人の「ファイナルボート(最終投票)」の1人に選ばれ、3日の中間発表(全体得票数1910万票超)でトップのダルビッシュに援護射撃を送った。

 ライアン社長

 ダルビッシュがオールスターに選ばれるのは、球界にとってもいいことだ。オールスターに国際色を添えられるし、世界の多くの人に見てもらえる。

 身びいきではなく、名投手の純粋な視点からの高評価が、インターネットでのプレゼンテーションへと突き動かしたようだ。6日か7日(同7日か8日)のツインズ戦が球宴前、前半戦の最終登板になる。現時点でメジャー1年目ながら10勝をマーク。地区首位快走の原動力になっている新戦力に、心を奪われている。「25歳の若さで、一生懸命で集中力があり、プライドを持っている。メジャーで最高の投手になると信じている」。

 多彩な変化球を操り、通算243勝を挙げた殿堂入り右腕フアン・マリシャル(ジャイアンツなど)の再来と称賛。「リーグでも最高のスライダーだ。それでも8つある変化球の1つ。そんなに変化球を操る選手はマリシャルくらいしか見たことがない」。ため息をつくほどの洗練された総合力に、ぞっこんだ。

 ワシントン監督も「私も投票する」と約束。この日は淡々と前半戦最終登板へ調整したダルビッシュのバックアップも、ヒートアップしてきた。

 ◆フアン・マリシャル

 1937年10月20日生まれ。60年ジャイアンツでメジャーデビュー。ドミニカ共和国出身の大リーガーで「ドミニカン・ダンディー」と呼ばれた。蹴り足の左足を顔付近まで上げるハイキック投法が代名詞の本格派右腕で、最多勝2度など獲得タイトル多数。実働16年で243勝142敗2セーブ、防御率2・89。63年に無安打無得点を達成。オールスターに9度出場。レッドソックス、ドジャースでもプレーして75年に引退。83年に殿堂入り。ジャイアンツ本拠地AT&Tパークには銅像が建てられている。