<マリナーズ1-4ヤンキース>◇23日(日本時間24日)◇セーフコフィールド

 ヤンキースに電撃移籍したイチロー外野手(38)が再出発を白星で飾った。マイナー2投手とのトレードが発表された数時間後、古巣となったマリナーズ戦に「8番右翼」で出場。12年目を迎えたマ軍では打率2割6分1厘と低迷し、新たな刺激を求めて移籍を志願。常勝軍団で心機一転、これまで縁のなかったワールドシリーズ制覇を目指す。<イチロー

 移籍会見>

 ★会見冒頭あいさつ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 イチロー

 まずは、ファンの皆さんに感謝の思いをお伝えしたいと思います。11年半、ありがとうございました。2001年から、チームが勝った時も負けた時も、僕が良かった時も悪かった時も、同じ時間や思いを共有してきたことを思うと大変感慨深いです。そして、そのどんな時も僕にとってファンの方の存在が大きな支えでした。

 このあまりにも長い時間を思うと、今の思いを簡潔に表現することは難しいですが。(9秒間の沈黙し)11年半、ファンの方と同じ時間、思いを共有したことを振り返り、自分がマリナーズのユニホームを脱ぐという想像をした時に、大変寂しい思いになりましたし。今回のこの決断は大変難しいものでした。

 オールスターブレーク(球宴休み)の間に自分なりに考え、出した結論は、20代前半の選手が多いこのチームの未来に来年以降、僕がいるべきではない、ということでした。そして僕自身も、環境を変えて刺激を求めたいという強い思いが芽生えました。そうであるならば、出来るだけ早くチームを去ることがチームにとっても僕にとっても良いことなのではないか、という決断でした。

 僕は、この11年半のマリナーズでの経験を誇りに思い、胸に秘めて前進して行きたいと思います。ありがとうございました。

 ★記者会見の一問一答

 

 

 

 

 

 

 

 

 -慣れないレフトを守ることになる

 イチロー

 18年間、確かに(本格的に)プレーしていない。でも最後にプレーしたのは1年目のプレーオフ、実はヤンキースタジアムだったんですね。そのことを僕の体はしっかりと記憶しているので問題ない。

 -ヤンキースに移ること自体どういう思いか

 イチロー

 結果的には一番勝ってないチームから、一番勝っているチームに行くということになるので、テンションの上げ方をどうしようかなと思います。

 -縦ジマを着てプレーする仲間を思うと

 イチロー

 仲良くしてください!

 と。

 -強いチームに移ることで自分の再生になるか

 イチロー

 もちろん、そうしたい。今のヤンキースの状況を考えれば、少しでも力になりたいという思いでいっぱいです。

 -ニューヨークのファンは背番号に注目する

 イチロー

 51番は確かに僕にとって特別な番号。でもヤンキースで51番は現段階で僕の方からお断りというか、とてもつけることはできない。これから新しい番号を自分の番号にしたいという思いです。

 -どんな挑戦をしたい

 イチロー

 今(ジラルディ)監督が横におられますが、インタビューの答え方がうまい。これから僕も対策していかなくては。(通訳が訳し一同笑い)

 -元チームと今夜戦うことについて

 イチロー

 まだ球場に立っていないので。現段階ではストライプになっているだけなので、感触としてはないですね。

 -ベテランの多いクラブハウスは

 イチロー

 それも見てみないと分からない。ただ、今まで2つを使っていたロッカーは1つになると思っています。

 -狭いヤンキースタジアムでプレーする

 イチロー

 球場の大きさというのは、確かに野球の質というかそういうものに確かに影響する。打つことだけではなく、守備にも影響するので、そこはアジャストしたい。

 -ジーターは尊敬する選手と言っている

 イチロー

 シーズン中もそうですけど、オールスターでも何回も一緒になったことがある。まぁ長い間、安定した結果を出している人間として、一番勝つことを命じられているチームの中であのような存在を続けられるということは、ポテンシャルだけでは成立しない。やはりそこに確かな人間性が存在していると想像しています。

 -移籍するチームの希望はあったのか

 イチロー

 もちろん、ありました。ただ、こうでなくてはいけない、というものはなかった。僕を必要としてくれるチームであることは大前提でしたけども。

 -ワールドシリーズに出たら

 イチロー

 その質問は僕にとって時期尚早。実際にプレーオフに行ったのは01年だけなので、現段階でワールドシリーズのことを語る資格はない。この先、ヤンキースのプレーヤーとして時間を過ごした時に、そういった思いが自分の中で芽生えることを期待しています。

 -シアトルを離れるにあたり何が一番寂しいか

 イチロー

 あまりに長い時間をすごしてきたので、1つを挙げることはできない…。この間で察してください。<試合後会見>

 -どんな1日だった

 イチロー

 このタイミングでこうなるっていうのは、今日しかなかった。何かがあったんでしょうね、としか説明がつかない。最初のファンの反応は、今日の1日を特別なものにしてくれたという印象です。

 -ヒットと盗塁を決めた

 イチロー

 何とかそれをしたかったです。僕の体はすごく軽いけど、それまでの今日1日はすごく重くて、自由自在に動くという感じではなかった。あの瞬間に解き放たれたという感触でした。

 -マリナーズへの思いをどう断ち切ったのか

 イチロー

 時間が長いほど、そこに迷いが生じると感じた。決断に至るまでにはもちろん時間がかかった。最後の決断も100%の決断であったかどうかは、実際は分からない。

 -背番号への思いは

 イチロー

 フィーリングでしょうね。「1」が欲しかったというのはあります。響きとサインを書いた時のバランスとかで。

 -ヤンキースを受け入れた理由は

 イチロー

 前向きな挑戦というものが必要だし、それにトライしたいという思いが芽生えた。その中ではネガティブなこともたくさん考えた。ノーならネガティブな挑戦、イエスなら前向きな挑戦が待っている。2つの道があってどっちを取るかは、そんなに迷わないでしょう。

 -ルーティンは違う環境でどうなる

 イチロー

 環境が変わることは怖い。不安です。ただ決意したわけだから、そういうものを断ち切らなきゃいけないし、断ち切れるように進みたい。覚悟は持っている。

 -これからはやってみないと分からないか

 イチロー

 とりあえず、今日のごちゃごちゃの中で一応プレーできたので。今日の1日はそういう意味でも、ちょっと自信になったかな。バタバタでしたし、ずっとハラハラもしていた1日だった。精神的にも難しい状況で、今日の1日は大きいですね。

 -マ軍のチームメートに思うことは

 イチロー

 そのことも迷った中の要素です。ただ、ムネ(川崎)とはスプリングトレーニングからずっと一緒にやってきて、いい時間を共有できたと認識している。一緒の場所にいることが必ずしも一緒にやっているということではない。違う場所にいても一緒にやることはできる。

 -家族との話し合いは

 イチロー

 家族は僕の決断に付いてきてくれる。はっきりした決意を示してくれたので、そこは支えになっていました。

 -ヤンキースのユニホームの印象は

 イチロー

 実は、着ているとあまり見えない。見えるのは僕以外の人なので、僕以外の人に聞いてみたい。背番号も全然見えないし。どうでした?

 ハハハハ。まぁ、僕は似合わないはずがないと思っています。

 -3が見慣れた5と形が違う

 イチロー

 61という選択もあったけど、それは微妙なのでやめました。

 -試合前にメンバーをクラブハウスで見て

 イチロー

 ここに流れている空気が、ダッグアウトもそうだけど、ものすごく落ち着いた空気。気持ち良かった。静かなわけではない。ただガチャガチャうるさいだけではないバランスが、僕の好みだと感じた。