<アスレチックス11-4レンジャーズ>◇4日(日本時間5日)◇オークランドコロシアム

 日本人メジャー新記録を勝利で飾れなかった。レンジャーズのダルビッシュ有投手(27)がアスレチックス戦に先発も、今季ワーストタイの5失点で7敗目を喫した。同ワーストの6四球と制球が定まらず、2本の2ランを浴びるなど6回途中でKO降板。今季240奪三振として95年に野茂英雄氏(ドジャース)が記録した236奪三振を塗り替えたが、地区V争いの直接対決で通算1勝5敗の天敵に雪辱できず、首位に並ばれた。

 シーズン記録を塗り替えた喜びが吹き飛んでしまった。ダルビッシュは1回、2番ドナルドソンを空振り三振に仕留めて今季237奪三振とし、前回登板で並んだ野茂氏の記録を更新。だが直後に3番ローリーにストレートの四球を与え、4番モスに先制の右越え2ランを浴びて負のスパイラルに陥った。

 2回は先頭打者から8球連続ボールで2者を歩かせた。制球できない自分にいら立つ心を制御できず、マウンドに向かった捕手ピアジンスキーとマダックス投手コーチを追い返すようにしてプレートに戻った。平常心を欠いてボールも高めに浮き、クリスプの犠飛で3点目を失った。2回終了後にベンチへ戻ったピアジンスキーは、1人大声で怒鳴り散らしながら、行き場のないフラストレーションを吐き出した。

 ダルビッシュ

 技術的にも精神的にも、ちょっと安定していなかった。単純に、真っすぐがコントロールできなかったので、それで(精神的に)どんどん悪い方向に行ったかな、と。

 再び首位に並ばれたア軍戦は1勝5敗、防御率4・86と苦手にする。6回も四球の直後に中越え2ランを浴び、打席で振り急がないア軍の戦術に脱帽しながらも、「四球→ホームラン、四球→ホームランっていうのは、よくないですね」と声を落とした。

 後半戦は1試合平均9・9個を奪った三振も、この日は4個止まり。旋風を起こしたパイオニア野茂氏の1年目を超えたが、「僕はまだ全然(野茂氏と)比べられるような位置に行けていない。いずれ、比べられるような選手になりたいです」と、天王山を落とした悔しさが勝っていた。【佐藤直子通信員】