【ミネアポリス(米ミネソタ州)14日(日本時間15日)=四竈衛】日米両球界を知るご意見番が、「中4日限界説」を提唱した。レンジャーズのダルビッシュ有投手(27)が、オールスター前日恒例の記者会見で、メジャー球界に大胆な提言を行った。肘の靱帯(じんたい)再建術(通称トミー・ジョン手術)に踏み切る若手投手が続出する事態を憂慮。1年目のヤンキース田中将大投手(25)も右肘靱帯の部分断裂で離脱したように、中4日の負担過多を指摘した上で、先発6人制など、故障防止のために独自の考えを明かした。

 球宴に関する質問が故障問題に移った途端、ダルビッシュの口調が熱気を帯びた。ヤ軍田中が右肘痛で離脱し、その原因が話題を集める中、ダルビッシュは独自の考えを語り始めた。故障防止のために、まずは「ケガのリスクをどれだけ抑えるか。ケアのスキルを個人が持っていかないといけない」とした上で、その主因をズバリと指摘した。「中4日は絶対に短い。球数はほとんど関係ない。120球、140球投げさせてもらっても、中6日あれば靱帯の炎症もクリーンに取れます」。

 米国内では、田中の故障原因を、日本時代の投球過多、スプリットの多投などに求める声も少なくない。だが、ダルビッシュの見解は違った。「日本で(手術経験者が)10年間に3、4人しかいないのに、こっちでは1年に何十人もいる」。渡米後、手術を受けたメッツ松坂らにしても、移籍前に検査しており、「日本で靱帯に傷が付いていたとは思えない」との私見を明かした。

 というのも、故障者は日本人だけではない。昨季終盤以降、ハービー(メッツ)フェルナンデス(マーリンズ)らデビューから1年前後の若手投手が、相次ぐ肘痛で離脱した。球数、イニング数を管理しても、結果的に、昨年だけで124人が受けたとされる「トミー・ジョン手術」に踏み切るケースが続出しており、球数との因果関係は究明されていない。肘に負担がかかるといわれるスプリットに関しても、持論を展開。「むしろチェンジアップ。フォークは別ですが、スプリットぐらい(握りが)浅ければツーシームと変わらない」と、自らの経験を踏まえて話した。

 ただ、先発5人制が定着するメジャーで、中5日を確保するためには先発6人が必要になる。ダルビッシュの結論は、その一点だった。「そうするべきだと思います。投手の年俸が下がりますが、選手をプロテクトするのであれば、もう1つ先発用の枠を作って、中5~6日でやった方がいいと思います」。

 現時点で田中は手術を回避する方向とはいえ、ダルビッシュにしても人ごとではない。何より、今後メジャーを目指す投手にとって故障軽減につながる。「これだけトミー・ジョン(手術)が出てるし、もっと議論しなきゃいけない。話し合うべきです」。ダルビッシュの大胆な提言が今後、メジャー全体に広がれば、近い将来、中4日の常識が覆るかもしれない。

 ◆今年に入って靱帯修復術を受けた主な投手

 エース格では、ともに過去2年で25勝を挙げたブレーブスのクリス・メドレン(28)、アスレチックスのジャーロド・パーカー(25)が2度目の手術に踏み切った。ア軍では昨季14勝のA・J・グリフィン(26)も手術。ダイヤモンドバックスでは同14勝のパトリック・コービン(24)の他、6月までに今季7勝をマークしたブロンソン・アローヨ(37)が今日15日にトミー・ジョン手術を受けることになっている。この他にも、レイズの昨季17勝左腕マット・ムーア(25)、ヤンキース田中とともに開幕ローテーション入りしていたイバン・ノバ(27)、レンジャーズでダルビッシュの同僚のマーティン・ペレス(23)らがいる。