<ホワイトソックス1-3ロイヤルズ>◇26日(日本時間27日)◇USセルラーフィールド

 ロイヤルズが1985年以来29年ぶりとなるプレーオフ(PO)進出を決めた。1回、青木宣親外野手(32)の先制適時三塁打などで3点を挙げて逃げ切った。地区首位タイガースに1ゲーム差に迫り、残り2試合で逆転優勝の可能性を残した。

 勝利が決まった瞬間、青木は仲間と一緒にベンチから飛び出した。本塁近くにできた歓喜の輪に加わり、喜びを爆発させた。7回の守備から交代してベンチに下がったが、自らのバットで先制点をたたきだし、自力でつかんだプレーオフ進出だった。

 クラブハウスに戻ると待っていたのは約150本のシャンパンボトル。用意されたゴーグルを装着すると、メジャー移籍後初めて味わうシャンパンファイトに突入。「かけてうれしいし、かけられてうれしいし、子供に戻ったかのような気分でした」。くしゃくしゃになった笑顔で仲間と抱き合い、大声で合唱し、全身ずぶぬれになりながら健闘をたたえ合った。

 青木のプレーがチームの夢もつないだ。1回無死一塁。甘く入った速球を捉え、鋭い打球を右翼線にはじき返した。打線はつながり、この回3点を奪った。2回以降は無得点だったが、先発ガスリーが7回無失点と投手陣も踏ん張った。

 弱小チームが変わった。チームには、一塁手ホスマーや捕手ペレスら才能ある若手がひしめいている。いくら優れた「個」が集まっても、「つながり」を持たなければチームとしては機能しない。昨オフ、ブルワーズからトレード移籍してきた青木に求められたのは、チームの“接着剤”的な役割だ。器用さを見込まれ、安打や盗塁に限らず、送りバントや進塁打などで、個と個をつなぐ重要な役割を果たした。

 青木

 今年は優勝が狙えるって分かっている状況で入ってきたから、チームに貢献したいって気持ちがあった。このチームに来てよかったと思います。

 まだ仕事は残されている。地区優勝でのプレーオフ進出も諦めていない。首位タ軍に1ゲーム差と迫った。「あと2勝して望みをつなげたい」と逆転優勝に意欲十分だ。そして、最終的に目指すは世界一。「とりあえずプレーオフ出場の状況をつくれたことはうれしいですけど、まだ先がありますから。まだ上を目指してやっていきます」。喜びの中にも冷静な光を宿した目は、頂点だけを目指していた。【佐藤直子通信員】

 ▼青木が今季9度目の勝利打点(V打)。9度のうち8度は後半戦(球宴後)でマーク。ロイヤルズの後半戦40勝の中でV打が多い選手は(1)青木8(2)バトラー、ゴードン、ペレス=各5(5)エスコバル、インファンテ、ケーン=各3。