<ワールドシリーズ:レンジャーズ4-2ジャイアンツ>◇第3戦◇10月30日(日本時間同31日)◇レンジャーズボールパーク

 【アーリントン(米テキサス州)=大塚仁、四竈衛】ア・リーグ覇者のレンジャーズが、地元でワールドシリーズ初勝利を挙げた。先発のコルビー・ルイス投手(31=元広島)が、8回途中まで2失点と好投し、今ポストシーズンで無傷の3勝目。開幕2連勝のジャイアンツの勢いを止め、対戦成績を1勝2敗とした。第4戦は10月31日(日本時間11月1日)、レ軍ハンター、ジ軍バムガーナーの両先発で行われる。

 鳴り響く「コルビー」コールが背中を押した。抜群の出来ではなくとも、ルイスは勇気を持ってストライクゾーンを攻めた。8回2死一塁で降板するまでの103球のうち、72%の74球がストライク。初球のストライク率は打者30人中26人の87%にもなった。「絶対に3連敗は避けたかった。ストライクを先行させれば扉は開く。優れた投手はみんなそうだから」。2失点はいずれもソロ本塁打。四球や連打で走者をためることなく、試合をつくりチームをワールドシリーズ初勝利に導いた。

 地元ファンには最高のヒーローだ。球団創立50年目のレ軍が本拠地で挙げたポストシーズン勝利はこれで3勝目だが、勝利投手はすべてルイス。しかも、チームが敗れた後の試合で勝利を挙げている。この日も連敗スタートからの流れを変え、降板時には割れんばかりの拍手に包まれた。「信じられない気分。たくさんの人が僕をこうやって応援してくれるなんて素晴らしいこと」とテキサスの英雄は感慨に浸った。

 広島から今季6年ぶりにレ軍に戻ったルイスは、レ軍の陽気なチームカラーに助けられた。クラブハウスでのあだ名は「コバヤシ」。「コルビー」が「コルバヤシ」と変化して付けられたが、ホットドッグ早食い王者の小林尊氏のおかげで米国でもなじみのある日本人姓のため、浸透も早かった。日本での経験は大きな個性となり、一丸となってリーグ優勝まで駆け上がってきたチームの中心にしっかりと存在感を示している。「勝利をもたらす投球だった」とワシントン監督も絶賛。ホームに戻って挙げたルイスの1勝は力強い逆襲の合図となった。