現役時代から里崎智也氏(39=日刊スポーツ評論家)は変わった男だった。結婚していたことも、子どもが生まれたことも公表しなかった。「1人ぐらい、そんなプロ野球選手がいても面白いでしょ」と、自分の人生を何かの実験のように話していた。

 まだバリバリに活躍していた時、引退後の将来のことを聞いたことがあった。監督やコーチの道を希望するのかと思いきや「球団の営業とか経営とか、そういう仕事に興味があります」と返って来た。今年2月、評論家としてキャンプ地をまわった時には、日本ハム遠藤良平GM補佐と30分も話し込んだ。

 読書家で、ビジネス書などにも手を伸ばす。千葉商科大国際教養学部の特命教授の肩書も持つ。豊富な知識は、野球の技術指導や評論以外にも生かせるはず。もし、球団社長だったら、どんな考え方をするのだろう? そう思ったのが、今回の企画の元になった。

 元プロ野球選手。異色の球団社長の誕生だ。架空の球団ではあるが「本来なら下積みからやらないと。僕みたいな立場の人間がいきなり社長になんてなれない」と言いながら、真剣にアイデアを出してくれた。変わった男だからこそ、斬新な考えが生まれる。【竹内智信】