巨人OBの松井秀喜氏(41)が2日、古巣で起きた野球賭博問題について胸中を語った。渡米を翌日に控えたこの日、都内で取材に応じ、一連の騒動を「ジャイアンツのOBとしては非常に残念な気持ちと、何でそうなったのかな、という多少の怒りの気持ちがあった」と振り返った。石川・星稜高の後輩で1年間の失格処分を受けた高木京介元投手(26)と会って話をしたことも明らかにした。

 直接会おうと考えた理由について、松井氏は「同じ土地に生まれ育って、同じ高校の野球部出身、プロで所属したチームまで同じ。それだけ共通する部分があると、いろんなことを話せるんじゃないかと。話しておきたいなと思った」と説明した。2、3週間前に自分から連絡を取り、都内で2人きりで会ったという。

 八百長につながる恐れのある野球賭博はファンを裏切る行為。何より、純真な少年少女たちの気持ちを想像すると心が痛むという。「子供たちがあこがれる夢の世界を壊してしまった。それが一番罪なことだと思う」。だが、高木元投手に対しては「本当は怒りたい気分でしたけど、もう終わったあとだったので。これからのことを話しました」と感情的にならないように努めた。

 松井氏は今後どのように償い、この問題と向き合っていくかについて自分なりの考えを伝えた。「(野球賭博の)事実は変わらない。反省して、しっかり処分を受け止めて、その上で再出発するしかないと思う」。高木元投手の様子は「だいぶ落ち込んでいた」と言い「ほとんど言葉もなく」話に耳を傾けていたという。

 2度とファンを裏切らないためにはどうすればいいのか。松井氏は「ダメなものはダメ。それだけだと思うんです。そのダメなもののラインを分かっていればいい」とシンプルに捉えた。「そのための方法をどうするかが難しいのかもしれない」としたが、本質は「決して難しいことじゃない気がするんです」と、語った。

 ◆高木京の賭博問題 3月8日、巨人は昨年発覚した野球賭博について既に解雇した3投手に続き、高木京も関与していたと発表。同日付で謹慎処分とし、渡辺球団最高顧問、白石オーナー、桃井球団会長の引責辞任が決まった。高木京は翌9日、涙ながらに謝罪会見。同22日に日本野球機構の熊崎コミッショナーは同選手を1年間の失格処分とし、球団に制裁金500万円を科す裁定を下した。巨人は同日、同選手との契約解除を発表した。