ロッテ池田重喜寮長兼打撃投手(70)が退団することが19日、分かった。今年5月に70歳を迎え、古希の球界最年長打撃投手と注目されたが、数日前に球団から契約終了を伝えられた。「この年までやれて、球団には感謝の言葉しかない。体は動くが、来年もやったら大ケガすることだってある。天命でしょう」と静かに話した。

 ロッテの草創期を知る。70年オフに大洋から移籍。球団事務所で、大毎時代からの名物オーナーだった永田オーナーにあいさつし「君、頼むよ」と言われたが、その翌日にオーナー交代が明らかに。「あれには驚いた」と懐かしむ。引退後は、トレーニングコーチなどを歴任。98年に球団を離れたが、人柄を買われ、翌99年秋に寮長に。時にコーチを兼任し、12年からは打撃投手も務めてきた。実に40年以上をロッテにささげたプロ野球人生だった。

 古希になって、なお制球力は健在。1日2万歩近く歩き、体幹トレーニングを欠かさなかったたまものだ。正月明けから11月いっぱいまで寮に住み込み、寮生と同じ暮らしを続けた。「寮長は嫌われていい。あいさつ。言葉遣い。朝食を食べろ。貯金はしろ。『また同じこと言ってるよ』と思われるぐらい言った」と孫のような若手に寄り添った。寮生からは親しみを込めて「池さん」と呼ばれた。

 今後については「(学生野球の)資格を回復したい。良い素材がいればシュートを教えたいね」と、自らの武器を伝授する日を描いた。穏やかな顔だった。

 ◆池田重喜(いけだ・しげき)1946年(昭21)5月1日生まれ。大分・臼杵市出身。津久見、日本鉱業佐賀関から67年ドラフト4位で大洋入り。71年からロッテ。77年で引退後はコーチや打撃投手を歴任。通算155試合13勝12敗、防御率3・53。楽天星野副会長やロッテOB有藤通世氏と同学年。現役時は178センチ、74キロ。右投げ右打ち。