ルーキーのヒットパレードが鳴りやまない。阪神ドラフト3位の木浪聖也内野手(24=ホンダ)が17日、日本ハムとの練習試合(宜野座)に出場。

5回守備から三塁に就くと、6回、無死一塁の場面で新外国人ジャスティン・ハンコック(28=カブス)の150キロを引っ張って右翼線へ二塁打を放った。キャンプ全4試合でHランプをともし、激戦内野争いの台風の目だ。

満員のスタンドがドッと沸いた。3-3の同点で迎えた6回、無死一塁の場面で1打席目が巡ってきた。新外国人右腕が投じた1球目。木浪はその1球目を狙っていた。「集中していきました。今日は初球からいこうと決めていたんで一発でいけて良かった」。真ん中に入った150キロを力負けせずひっぱたく。痛烈な打球が一塁線を破った。無死二、三塁とチャンスを広げる二塁打だ。

ファンは知っている。木浪の名前がコールされれば、自然と拍手が起こる。7日紅白戦で決勝3ランを放つと、11日紅白戦でも中前打をマーク。途中出場した14日楽天戦でも右前打を放ち、これでキャンプ4試合連続安打。矢野監督も「どちらかと言えば当てる打撃かなと思っていたんですけど、振り切ることもできる。どの打順でも行ける感じがします」と絶賛だ。

教訓が生きた。前日16日のケース打撃では新助っ人のジョンソンと対戦。フルカウントからカーブで空振り三振を喫した。「追い込まれると変化球で振ってしまう。今日は一発でと考えていた」。キャンプから「(プロは)キレが全然違う」とタイミングの取り方も工夫。イメージを頭に描いて打席に立つ。だからこそ、初見の外国人右腕、しかもその1球目を一撃で仕留めることができた。

本職の遊撃では、再挑戦を表明した鳥谷と、キャンプ絶好調の北條の間に割って入ろうかという勢い。矢野監督は「内野はどこでもできると思う。本当に使える幅は広くなる」と話すように、この日は三塁守備に入った。木浪は「アピールしないといけない立場。少ない打席でも今は結果にこだわっていきたい」と意気込む。虎の内野争いを面白くしているのは、間違いなく背番号0だ。【桝井聡】

◆木浪聖也◆ きなみ・せいや。1994年(平6)6月15日、青森市生まれ。青森山田では中日京田と同学年。亜大で1年秋、3年秋に神宮大会V。ホンダを経て18年ドラフト3位で阪神入団。今季推定年俸1000万円。178センチ、80キロ。右投げ左打ち