プロ野球ヤクルトの「勝利の方程式」は、東北リレーだ! 岩手・九戸村出身の14年ドラフト2位風張蓮投手(25)と、秋田市出身の12年ドラフト1位石山泰稚投手(30)が勝ち試合を締める。

18日の沖縄・浦添キャンプでは2人並んでブルペン入り。昨季に自己最多53試合登板の最速152キロ右腕・風張はフォーム固めに重点を置き、さらなる信頼を勝ち取る。

182センチ、88キロの風張が、1球1球丁寧に1年間戦い続ける投球フォームを体に染みこませた。昨季途中から新守護神として、リーグ2位を導いた石山とともに右腕を強く振り続けた。「リリーフをやっている以上、目指すところは石山さんのところ。石山さんも下からのし上がった。目標の存在でもある」と野心も抱く。勝ち試合の終盤、8回風張、9回石山の地位確立が、飛躍への1歩となる。

プロ4年目の昨季は自己最多53試合に登板し、2勝4敗。勝ち負けや点差の有無に関係なく出番を得た。「いろいろな場面で投げさせてもらえたことは悪いことではなかったけれど、常に良い状態を保つプレッシャーのかかり方も半端なかった」。初回から肩をつくって万が一に備え、体力面でも当然負担はかかった。「とにかく今年は1年間、投げ続けられる体力トレーニングと、フォームを安定してマウンドに立てることを意識してきました」。鏡の前ではタオルを持って、シャドー投球を反復。「ここまでは完璧にきています」と手応えを得つつある。

57回2/3を投げ、61奪三振。直球の威力だけでなく、変化球の精度も増していることは間違いない。課題は23四死球、被本塁打11。四球で簡単に走者を出し、クイックで球威を落として失点につながる場面もあった。「出来るだけ勝ちパターンで投げられるようになれば、調整もしやすく、自分の投球にもプラスになる。数字では最低去年以上」。昨秋から時間を惜しんで、野球に費やしてきた。疲労の癒やしは3月に2歳を迎える長男の存在。「キャンプ中は寂しいです」。宿舎では妻を含めた3人でテレビ電話で会話。息子の成長確認で英気を養い、自身の成長への活力とする。

伊保内(岩手)時代は3年春の県8強が最高。東農大北海道オホーツク4年時に最優秀投手賞などのタイトルを獲得も、まだまだ伸びる余地がある。「石山さんとの東北リレー、いいっすね」。東北人×無失点=15年以来のリーグ優勝。方程式完成へ着実に準備を進めている。【鎌田直秀】