「稲葉ジャパン」の申し子だ! 初のフル代表に選ばれた日本ハム清宮幸太郎内野手(19)が、侍ジャパン稲葉篤紀監督(46)の御前で“今季1号”を含む3安打5打点と大暴れした。21日、楽天との練習試合(金武)に「6番一塁」でフル出場。17日の阪神戦に続き、今年に入ってマークした打点は、すべて稲葉監督の前で決めている。この日、2024年パリ五輪で野球が追加種目の選外となった。その後の大会での実施も不透明な中、東京五輪の舞台へ、進化を印象づけた。

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代表監督が見つめる先で、再び清宮のバットが火を噴いた。2点を先行し1死一、二塁で迎えた1回の第1打席だ。フルカウントからの6球目。高めに浮いた楽天池田の外角138キロ直球を見逃さなかった。沖縄の青空へ勢いよく伸びた打球は、バックスクリーン右に飛び込む3ランとなった。「自分のタイミングで打てたと思う」。実戦6試合目、背番号と同じ21打席目で生まれた待望の“今季1号”に、自然と笑みがこぼれた。

3月に開催されるメキシコ代表との強化試合(京セラドーム大阪)で、初のフル代表入りが決まったばかり。バックネット裏で試合を見守った稲葉監督が「自分のカウントに持っていくことができていた」とうなった1発で、気分が乗った。2回2死満塁では、お手本のようなセンター返しで2点適時打。カウント2-2から仕留めた。直前の4球目は内角の厳しい球にわずかに詰まって、右翼ポールの外に落ちる大ファウル。「うまく、さばけたかなと思ったんですけど」と悔しがったが、内角球をいとわない持ち前の柔らかい打撃も健在だ。

4回の第3打席では変化球を捉え、この日3安打5打点。課題としてきたボール球に、バットが止まるようになってきた。「ちゃんと(球を)呼び込んで、見極められているのかなと思う。変化球もしっかり見ることができている。体の面でも、だんだん慣れてきた」。少しずつだが、2年目の進化を実感している。

今季初打点をマークした17日阪神との練習試合に続き、これで稲葉監督が視察した試合で計7打点。同監督は不思議な縁を感じているようで「打席の立ち姿が、すごくいい。僕が見に来た試合で打っていると、そういうものを感じる」と喜んだ。ここ一番での勝負強さを発揮する若き侍は「たまたま、そういう日でしたけど、打てて良かった」。焦らず、着実に、スターへの階段を上がっている。【中島宙恵】