さすがGキラー! 阪神伊藤将司投手(26)が6回1失点と好投し、今季伝統の一戦で3戦3勝、自身7連勝で8勝目を手にした。球団史上初の巨人戦3試合連続完封に臨んだ敵地での一戦。惜しくも達成ならず、ヒーローインタビューでは「完封したかったんですけど、残念でした。フフッ」。言葉とは裏腹に、チームの勝利に思わず笑みがこぼれた。

持ち味の制球力がさえた。投球の間合いを変えながら、両サイドを鋭く突く直球にツーシーム、カットボールなど変化球を徹底して低めに集め、走者を出しながらも4回まで連続で3人で片付けた。2点リードの6回1死から吉川に巨人戦では昨年7月10日の4回以来、27イニングぶりの失点となる右中間への1発を被弾。1点差に迫られるも、後続をピシャリと封じて流れを渡さなかった。

7月末に行われたオールスターに初出場し、他球団の選手と交流を重ねた。球宴前には「中日の大野(雄)さんに話を聞きたい」と目を輝かせ、お祭り当日は球界を代表する左腕に歩み寄り、技術論に耳を傾けた。「少し話せたのはいい経験になりました」。大野雄から「左バッターへのツーシームがいいね」と称賛された武器の1つを、この日の試合で何度も使用し、巨人打線を手玉に取った。

球団初の快挙こそ逃したものの、巨人戦5カード連続の勝ち越しに導いた。矢野監督は「もちろん、そんな完封なんて簡単にできることじゃないし。特に東京ドームはピッチャーにはやっぱり不利な球場だから。それでもよく投げてくれた」と評価。今季の進化については「真っすぐの質とコントロールは去年よりはいいのかな。タイミングを変えるとか、いろいろ駆使してっていうは将司のいいところじゃないの」と目を細めた。

「自分が打たせて取るという形は崩さずに、8月もしっかり投げてきたい」。虎の左腕エースに死角は見当たらない。【古財稜明】

 

▼阪神は今季の巨人戦で5カード連続勝ち越し。同一シーズンでは、09年7月17日~19日の3連戦から、9月15~17日の3連戦にかけての5カード連続以来、13年ぶり。

▼夏の長期ロード期間中に東京ドームでの巨人戦で2連勝したのは23年ぶり4度目。91年8月7~8日、92年8月22~23日、99年8月21~22日以来(複数年にまたがるケースを除く)。前回99年は野村克也監督時代で、8月21日は先発舩木ら4投手の継投で4-1の快勝。同22日は先発ミラーが8回に桑田から、自ら決勝本塁打を放ち2-1で勝った。

▼阪神が長期ロードを○○発進は、17年7月28~29日中日戦(ナゴヤドーム)以来5年ぶり。

○…ロハスが「天井凡打」で東京ドームをザワつかせた。1点リードの8回に先頭で代打登場。戸郷の143キロを高々と打ち上げた。打球は天井に当たって少し落下地点を変えるも二飛となった。直前の7回裏1死では巨人5番ウォーカーも遊飛を天井に当てていた。2イニング連続の「天井打」に観客は盛り上がった。

○…原口が今季1号2ランを放った。ウエスタン・リーグ中日戦(バンテリンドーム)に「5番・一塁」で出場。4点を追う4回2死二塁で、中日先発の勝野の甘く入ったフォークを左翼席へ運んだ。6月13日にコロナ陽性が判明。同24日からチームに合流した際には「どんどん試合に出て結果を求めてやっていきたいと思います」と話しており、打撃でアピールした。