プロ野球ドラフト会議は20日、都内で行われる。6日に志望届提出が締め切られた。北海道関連では、札幌南出身の東大・井沢駿介投手(4年)が提出した。高校卒業後1年間の浪人生活を経て、最難関大学に合格。目標だった東京6大学リーグで力をつけた右腕が、ドラフト候補として運命の日を待つ。そのほか、道内からは最速151キロ右腕の苫小牧中央・斉藤優汰投手(3年)ら高校生7人、東農大北海道・伊藤茉央投手(4年)ら大学生7人が提出した。

ドラフト会議を目前とし、井沢が心境を口にした。「今はリーグ戦もあるしチームの勝利が優先。その先に個人としていい成績を残して、指名されたらいいなと思っている」。今秋の東京6大学開幕直前の9月8日に、プロ志望届を提出。同10日の明大との開幕戦に先発した。6日現在で6試合に登板し、1勝4敗の防御率6・99。大学最後の勝負の秋を戦っている。

8月27日に愛媛で行われた東京6大学オールスターゲームでは自己最速を更新する144キロをマーク。9月17日の慶大戦では6回2失点で通算2勝目を挙げ、チームに今季初勝利をもたらすなどアピールを続けている。「4年間、何人もプロを輩出するようなリーグでやってきて、その中で自分もレベルの高いところに挑戦したいという思いが強くなった」とプロへの道を志した。

5年前、札幌南のエースとして臨んだ高校最後の夏は、地区代表決定戦で現DeNA阪口皓亮投手(23)擁する北海に敗れた。不完全燃焼に終わったが、当時練習に訪れていたOBで00年夏甲子園出場時主将の田畑広樹さん(40=現監督)に背中を押された。「もうちょっと上のレベルで野球ができるんじゃないか」と声をかけられた。レベルの高い関東のリーグの国公立大でプレーすることを望んだ井沢は東大野球部の練習会に参加。ここで野球がしたいと目標は決まった。

しかし道は険しかった。現役合格を目指し受験も不合格。約1年間浪人生活を送った。予備校に通い授業を受けるなど1日12時間の勉強漬けの日々は、運動できる時間など一切なかった。「(家に)帰ってご飯を食べて、お風呂に入って、また少し勉強して、寝るって感じでした。これ以上つらい1年はいまだにないですね」と振り返る。努力が実り翌年合格。今は農学部に所属する。

幼少期から地元日本ハムのファンで、札幌ドームでよく試合を観戦した。09年リーグ優勝時の記憶とエースだったダルビッシュの投球は鮮明に覚えている。夢から目標に変わったプロ入りは、狭き門だと分かっている。「トップの中のトップ選手がいく世界で、厳しいというのは覚悟しているつもり。わずかな可能性を信じて」。運命の日まであと13日。今はプロ1本しか考えていない。【山崎純一】

◆井沢駿介(いざわ・しゅんすけ) 2000年(平12)1月6日、札幌市生まれ。札幌青葉小1年時に青葉シャークスで野球を始める。札幌青葉中時代は軟式。札幌南では高校3年夏に背番号1をつけ、地区代表決定戦で北海に敗退。球種はカット、カーブ、スライダー、チェンジアップ。趣味はサウナと岩盤浴。好きな食べ物はすしと札幌みそラーメン。好きな有名人は松坂桃李と伊沢拓司。家族は両親と兄2人。血液型A。