日刊スポーツの名物編集委員、寺尾博和が幅広く語るコラム「寺尾で候」を随時お届けします。
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今をときめくジャニーズ公演の熱狂はすさまじかった。当方の寄稿文の評判が上々なのも、洗練されたアイドルが放つ輝きによるものだろう。コロナ明けの興行に違和感を覚えないのは、社会が日常を取り戻しつつある証拠といえる。
海の向こうからもセンセーショナルな興行スケジュールが伝わってきた。米大リーグ機構(MLB)コミッショナーのロブ・マンフレッドが、2年後の25年にフランス・パリで公式戦を開催する意向を明らかにしたのだ。
すでに本紙は21年8月17日付(西日本版)で「パリ開催」の可能性を報じている。東京五輪で来日した前仏野球連盟会長のディディエ・セミネが「すでに球場は押さえた。カリフォルニアの球団を招請したい」といった注目発言をキャッチしていた。
現在もっとも有名な日本人の大谷翔平(エンゼルス)が“芸術の都”パリでアーチを描く可能性もあるわけで、パリジェンヌを引きつけるだろう。そこには興行主のMLBが新たな市場開拓をにらんだ戦略が見え隠れしている。
19年に初めて公式戦をロンドンで開催したMLBは、この6月にも同地でカブス-カージナルス2連戦を行った。MLB最高責任者のマンフレッドは、すでに来年のロンドン開催を約束した上で、翌25年のパリについても言及したわけだ。
フランスのスポーツではサッカー、テニスの普及度が高い。野球は85年阪神日本一監督の吉田義男(日刊スポーツ客員評論家)が7シーズンにわたってナショナルチーム監督を務めた実績はあるが、野球場は数カ所で、まだまだマイナースポーツの域を出ない。
ただ史上初のパリ開催の実現は、MLBが欧州に市場を求める以上に影響を与える可能性が出てきたといった見方もできる。東京五輪をもって実施競技から「野球ソフトボール」が除外。MLBの欧州進出は復活への“追い風”になるかもしれない。
来年のパリ五輪では「野球ソフトボール」は実施されない。野球関係者は28年ロサンゼルス五輪での復活を熱望している。しかし1984年のロサンゼルス五輪で公開競技として行われた野球だが、現時点で復活する保証はない。
五輪には強い興味を示さないMLBだが、24年ロンドン、25年パリ進出が欧州で乏しい野球人気に拍車をかければしめたものだ。続く26年にはWBCが開催される予定だから、野球人口減に歯止めをかける流れができるかもしれない。
MLBが画策するパリ開催の成否は、ロサンゼルス五輪での「野球ソフトボール」復活のシナリオを描くことになる。(敬称略)



