近大は今季限りで退任する田中秀昌監督(66)とのラストゲームを白星で飾った。

10年間指揮を執った田中監督はナインの手で10度宙を舞った。さらに花束や似顔絵、ウイニングボール、晩酌用の名前入りタンブラーなど、両手に抱え切れないほどのプレゼントが贈られた。「うれしかった。サプライズだったので。最後の試合にふさわしい粘り勝ち。感謝しかないです」と目頭を熱くした。

5勝4敗で迎えた今季最終戦は延長にもつれた。1-1の延長11回、1番阪上翔也外野手(2年=神戸国際大付)の右適時打で勝ち越し。さらに2死二、三塁で打席には主将の3番坂下翔馬内野手(4年=智弁学園)。「勝って胴上げと言っていた。気持ちでいくしかない」。感謝の気持ちを1打に込めた。ヘッドスライディングでダメ押しの右越え2点適時三塁打をつかむと、雄たけびを上げ、拳を突き上げた。

田中監督は14年4月に監督に就任した。5度のリーグ優勝を果たし、18年の明治神宮大会4強入り。10年間で最も印象に残っていることには、17年春の初優勝を挙げた。当時の主将は楽天の小深田大翔(28)で、1年生には阪神の佐藤輝明(24)も在籍していた。「常勝の近大を(就任から)3年勝たせることができず、申し訳ない気持ちだった。ほっとした」と当時の心境を明かした。

監督とともに4年間で3度のリーグ優勝を経験した坂下は「主将なのに自分のことだけ考えてプレーしていたことがあった。そのときに監督さんから『大人になれ』と叱っていただいた。熱い人で、自分も負けないようにやってきた4年間でした」と感謝。自身も強烈なキャプテンシーで智弁学園、U18日本代表、そして近大を引っ張ってきた熱血漢。恩師の言葉が胸に刻まれた。

田中監督の今後については未定だが「体は元気なので、最後は高校野球に恩返しがしたい」と心を燃やす。93年センバツでは母校の上宮を初優勝。03年に就任した柏原(現東大阪大柏原)の監督としても同校を11年夏に初の甲子園出場に導いた名将だ。これからも野球への情熱は冷めない。【村松万里子】