成長させたのは燕軍団だけではなかった-。ヤクルト池山隆寛監督(60)は、駿河台大学の客員教授も務めている。同大学の硬式野球部の部員数増加につながった助言とは。野球振興、社会に羽ばたかんとする大学生たちへの思いに迫った。【取材・構成=塚本光】
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神宮球場のように、緑のダイヤモンドが際立っている。埼玉・飯能市内にある駿河台大学キャンパス。その中に、人工芝の野球場が広がっている。
「土だったの。まずは環境がすごく大事だと思っている。それで強くなってきて(高校生が)野球をしたいと思わないと、その大学を選ばないと思う」。池山監督が初めて同大学を訪れた10年以上前は、まったく違う様子。土のグラウンドにベースとバックネットだけがあった。
構内にいいスペースがあることも確認し、部を強くするために、人工芝のスタジアムにすればいい選手が入るきっかけにもなると考え、提案した。「もう亡くなってしまった当時の理事長に『まずはグラウンド整備からされたらどうですか』と言ったら『わかった』と言って、球場を造りはった」。助言をきっかけに大学側も決断した。
16年の改修前は部員数が約30人だったが、現在は120人ほどに増えた。19年から約7年半、東京新大学野球連盟の1部で戦い続けており、池山監督が思った通りに実力を上げた。
硬式野球部の松浦健介監督も、グラウンドの効果を実感している。授業を受ける教室と同じキャンパス内にあり、寮もすぐ近く。授業の合間などにすぐ個別練習をすることができる。人工芝のため「練習前の準備や整備がすぐに終わる。練習をやり込める。ゴロがイレギュラーして顔に直撃するとかもない」。貴重な時間を有効に使うことができる点でも、アクシデント防止の点でも優れている。
ヤクルトの打撃コーチを務めていた12年12月、初めて客員教授に就任した。現役引退後、球団に属していなかった10年ごろ。「FM NACK5」の番組に出演していたときに、当時の山﨑善久理事長と親交を深めた。依頼され「野球に関する部分で何かお役に立てるのであれば」と快諾。大学生に直接野球の指導を行うことはできないが、環境面の助言などを行い、間接的に強化に携わってきた。
「私が野球を選んでいることが、やっぱり野球でなにか恩返しできれば、お力になれればとは思っています」
小学生向けの野球教室を実施し、宮本慎也氏(55=日刊スポーツ評論家)と公開イベントのトークショーも開催。学生だけでなく地域住民や野球ファンなど計500人以上に、計画と目標の大切さなどを伝えた。指導者として活躍するかたわら、野球振興にも貢献している。
3月の卒業式と4月の入学式ではビデオメッセージでコメント。今春の入学式でも「僕も1年生なので…」とエールを送った。
指導者としても多忙な中でも、同大学で野球をする学生への思いがある。「大学に野球しようと思って入ってきてくれた選手は、そこが青春。さらなる技術向上もそうだし、自分の人生を歩むというところの、新たなスタートなので。有意義に過ごしてほしい」。広く優しい心で青年たちを見守る姿は、若い燕たちを率いる姿と変わらない。



