上州のイチローが初の“猛打賞”だ。オリックスのドラフト1位、駿太外野手(17=前橋商)が15日の紅白戦に1番中堅で先発し、3打数3安打、1盗塁と大暴れした。19日から沖縄本島で4試合行う練習試合の出場も決定しており、結果を出し続ければ開幕1軍へ夢がふくらむ。外れ外れ外れ1位が注目度を上げてきた。

 すべて逆方向のレフトへ3安打。駿太のがむしゃらな姿勢が面白いように結果につながった。

 「芯ではないですが、いいところに飛んでくれた。今はヒットを打てたら合格」。

 17歳は必死にバットを振っているだけと言い張る。紅白戦とはいえ、結果がすべての世界。評価を得るには十分なパフォーマンスだった。

 1番中堅で先発。1回は左の伊原のスライダーをとらえ、3回は右の鴨志田に詰まらされながらポテン安打。5回2死一塁では右の桑原の内角直球に差し込まれたが、三遊間を破った。

 「引っ張りのイメージですが、やっぱりプロはグッと押し込まれる。バットを振り切っている分、いいところに落ちてくれている」。

 幸運を強調するが、ヒットゾーンに入れてくるのはセンスの証し。この日は1回に二盗も決めた。「サインはありませんでした。リードを大きく取れと言われ、けん制もなかったので」と、積極性も光らせた。右投げ左打ちで遠投120メートル、50メートル走は6秒0、守備範囲も広い。ドラフトで指揮官が3度抽選を外した末に指名したドラ1だが、走攻守そろった才能から上州のイチローと呼ばれる。自らも意識し、試合日にはかつて本家がそうだったように朝カレーを食べてきた。チームで最も若い、可能性の塊。岡田監督は無欲のアピールぶりを手放しで褒めた。

 岡田監督

 (盗塁は)スタートを切るのも、スライディングも速い。まだ2月から一緒にやり始めて、教えんでもバットコントロールができとる。振り切っての三遊間(を抜ける安打)やからな。

 19日からは沖縄本島で練習試合が4試合行われる。2軍キャンプから昇格し、1軍でも好調な駿太は指揮官から沖縄行きの「航空券」もゲット。「うれしいですね。結果を求められていない分、気持ちは楽に臨めている部分があるので」。無欲のアピールを続けた先に開幕1軍の夢が広がっていく。

 [2011年2月16日11時22分

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