<あの球児は今:プロ野球キャンプ編>

 東北のアマチュア球界を沸かせた選手は、現在をどう過ごしているのか。日刊スポーツ東北6県版では「あの球児は今」と題し、今日から随時紹介していきます。プロ野球春季キャンプ編の第1回は、岩手・花巻東高から14年にドラフト7位で日本ハムに入団した岸里亮佑外野手(19)。昨季は高卒新人のイースタン・リーグ最多安打記録(107本)を達成し、10月の1軍デビュー戦では2安打を放った。順風満帆なスタートを切った期待の星が、球史に名を刻む活躍を目指して進化を続けている。

 日本ハム岸里が、安打製造器への道を着実に歩んでいる。1年目からイースタン全108試合に出場し、ヤクルト山田が持つ高卒新人最多安打記録の106本を更新した。1軍に初昇格した10月2日の西武戦では9番左翼で先発し、3打数2安打1打点の鮮烈なデビューを飾った。山田は4年目の昨季、日本人右打者のシーズン最多となる192安打を達成。プロ野球の歴史を塗り替えた男を超える1年目を過ごしたが、満足する様子はなかった。

 岸里

 2軍の残り10試合くらいで、コーチから「山田を抜いてみよう」と言われて達成できたのは自信にはなった。ケガなく1年間できたのも良かったけど、打率2割4分8厘は低い。終盤戦で内角を攻められて三振や凡打が増えて、成績が落ちたのが悔しいです。

 沖縄・国頭村での今キャンプでは、徹底的に課題克服に取り組んでいる。打撃練習では、内角の球を中堅から左方向へ持っていく形を繰り返していた。バットさばきの見本は、同じ左打者で2000本安打を達成し、昨季限りで現役を引退した稲葉篤紀氏(42)だ。

 岸里

 1年間一緒にやらせてもらって、あらためて内角のさばき方がすごいと思った。本当に尊敬する存在。ヘッドの出し方は、インターネットで動画を見て参考にしています。

 武器の多さも大きなアピールポイントだ。50メートル5秒9の快足に、高校時代に投手として最速146キロをマークした強肩も兼ね備える。オフは4キロ増量し、パワーアップにも成功。打撃と守備の確実性が増せば、1軍への道が見えてくる。

 岸里

 去年は2番とか1番を打たせてもらったけど、将来的には3番を打てるような選手になりたい。今年は2軍で130安打、打率3割が目標。拳士さん(日本ハム杉谷)のイースタン最多安打(133本)も抜きたいですね。1軍では、どんな形でも30試合は出られるように頑張ります。

 プロ入り前、花巻東の1学年上の先輩でもある「大谷超え」と掲げた目標について、もう1度聞いた。

 岸里

 今もそう言いたい気持ちはあるんですけど、次元の違うところに行ってしまいましたから(笑い)。高校の時みたいに、翔平さんが投げている試合で外野を守りたいですね。

 あこがれの先輩とともにスコアボードに名を連ね、2人でお立ち台に上がる。最高の瞬間が訪れることを夢見て、岸里は努力を続けていく。【鹿野雄太】

 ◆岸里亮佑(きしさと・りょうすけ)1995年(平7)4月3日、岩手県久慈市生まれ。小1から野球を始める。長内中では軟式野球部に所属。花巻東では1年秋からベンチ入り。翌春のセンバツは故障で出番がなかったが、3年夏は背番号1で甲子園4強入り。13年ドラフトで日本ハムから7位指名。180センチ、75キロ。右投げ左打ち。家族は両親と姉。血液型B。