楽天にドラフト9位指名された岩出山の今野龍太投手(18)が12日、宮城・大崎市内で入団交渉を行い、仮契約を結んだ。契約金は500万円プラス出来高払い1000万円、年俸440万円(金額は推定)。プロ野球選手として新たなスタートを切る146キロ右腕は、育ててくれた両親への恩返しを誓った。

 楽天上岡スカウトに帽子をかぶらせてもらうと、今野の表情が緩んだ。父義明さん(46)母恵美さん(47)も同席しての入団交渉に「いくら拭いても手汗が止まらなくて、試合より緊張した」と肩の力は入りっぱなし。会見でも言葉少なだったが、プロ野球選手の証しともいえる帽子に「やっぱり実感がわきますね」と、ようやく白い歯を見せた。

 楽天の一員になる準備は着々と進めている。指名あいさつ後は、日本シリーズで田中や則本といった“先輩”の投球を見て勉強。現在は毎日、岩出山の7人の後輩たちと練習に励む。ピッチングは女房役を務めた山田裕之前主将(3年)と行っている。年明けの新人合同自主トレへ向けて「制球力を上げて、体力をつけていきたい」と意気込む。

 プロ入りが、支えてくれた家族への最初の恩返しだ。父は小学校時代に所属した岩出山フェニックスの監督で、野球を始めるきっかけをくれた。そして、パートで働きながら4人きょうだいの面倒を見てくれた母。プロ入りを目指していた兄や姉も高校卒業後に就職した。完成途上の今野には大学に進学する道もあったが、家族からは「自分の将来だから自分で決めなさい」。背中を押され、決意を固めて志望届を提出した。

 今野は「両親が生んでくれて育ててくれたから、ここまでの選手になれた」と感謝の気持ちを忘れない。“初任給”でのプレゼントは「何がいいですかね?

 これから考えます」と目を輝かせた。次なる恩返しは、楽天のユニホームを着てマウンドで輝く姿を見せ、ウイニングボールを贈ることだ。【鹿野雄太】

 ◆今野龍太(こんの・りゅうた)1995年(平7)5月11日、宮城県大崎市生まれ。岩出山小2年で岩出山フェニックスで野球を始める。岩出山中では軟式野球部に所属。岩出山高では2年春からエース。今夏の県大会2回戦で9回16奪三振ノーヒットノーランを達成した。177センチ、70キロ。右投げ右打ち。家族は両親、兄、姉、弟。血液型AB。