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左から福留、青木、亀井、松中の見守る中、背面キャッチをするイチロー

＜ＷＢＣ：宮崎合宿＞◇初日◇１６日◇サンマリンスタジアム

　マリナーズ・イチロー外野手（３５）がＷＢＣ日本代表候補合宿初日から走攻守プラス「笑」で４拍子そろった全開パフォーマンスだ。フリー打撃やレーザービーム返球、背面キャッチで観衆を魅了。さらに観客席最上段へボールを投げ入れ、争奪戦を演出し、笑いも呼んだ。４時間の練習後は「疲れちったですね。（疲れ）『ちゃった』まではいかない」「ザ・パフォーマンスでいく」とイチロー節もさく裂した。

　４万人の観衆をほぼ独り占めした。３年ぶりにお披露目されたイチローの日の丸ユニホーム姿。シートノックで右翼から三塁レーザービームで観客を沸かせ、お決まりの背面キャッチも決めた。「イチローッ」。声が飛ぶと気軽に手を上げる。捕球したボールをスタンドに投げ入れていたが、右中間最上段に無人ゾーンを発見すると、すかさず遠投。ファンが一目散に駆け出す即席のお宝争奪戦で、客席はさらに沸いた。企画したイチローも笑っていた。

　原監督率いる日本代表の初練習は約４時間で終了。イチローは記者会見でもはしゃいだ。「疲れちったですね。（疲れ）『ちゃった』まではいかないけど」とちゃめっ気たっぷり。「単純に守っている時間が長かった。でも練習の配分のイメージはできました」。もっとも演出のペース配分も考える。「ザ・パフォーマンスでいきたい。お客さんが入っていますから。僕らが提供しないと」と力説した。

　「（練習の）後半は見ている人もだいぶだれてきた。ネタが尽きてしまう。初日から結構見せてしまったし、どうしましょう」。初日からネタ満載の“オーバーペース”こそ反省したが、ＷＢＣ連覇には日本中が一枚岩になるような応援熱が不可欠。「イチロー劇場」は計算ずくのパフォーマンスだった。

　練習中は野手陣でただ１人、半袖のアンダーシャツで通した。アップでは「まだおなかは出てないし」と、川崎、ダルビッシュ、涌井と並んで先頭を走った。きびきびした動きで真っ先にスパイクに履き替えてグラウンドに戻り、芝を抜いて宙に投げて風向きを確認。フリー打撃では４２スイングで３本の柵越えと感覚をつかみ、グラウンド上で外野陣だけで話し合いもした。「コミュニケーション？　意識はないけど、いい感じ。実際に話をして、僕の動きも見てもらえたし、僕もみんなの動きも見られた。テンションは上がってきました」。

　リーダー的な存在感を示したイチローは「みんながそういう気持ちであれば…。それくらいのエゴを出してもいいのでは。特に現段階ではいい」と、さらなる盛り上がりを期待した。【押谷謙爾】

　［2009年2月17日8時38分　紙面から］

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