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岩田（中央）は城島、松坂らと笑顔とハイタッチ（撮影・浅見桂子）

　魔球使える！　第２回ワールド・ベースボール・クラシック（ＷＢＣ）日本代表の岩田稔投手（２５＝阪神）が、強化試合オーストラリア戦の６回から３番手で登板。１死一塁から、沈む変化球ツーシームで狙い通りの併殺打に仕留めた。わずか８球で１回無失点。１次候補落選から逆転で侍ジャパン入りした虎の左腕が、世界一連覇へ貴重な存在になる。日本は初の国際試合を８－２で圧勝。２６日もオーストラリア戦（京セラドーム大阪）に臨む。

　狙い通りの結果に、マウンド上で思わずガッツポーズが飛び出した。「追加招集男」こと岩田が、またも存在感を光らせ中継ぎテストに合格した。

　６回。３番手で登板。１死から４番フーバーに中前打を許したが、このピンチを救ったのはやはり、今オフから本格的に取り組んできた魔球ツーシームだった。５番ライジンガーに対し、初球から新球を外角低めに投げ込んだ。揺れながら沈む不規則な軌道の変化球に、打者もバットに当てるのが精いっぱい。ボテボテの三ゴロで併殺に仕留めた。「とにかくスコアボードに０を付けることしか考えてなかった」。わずか８球でオーストラリア打線を料理し、笑顔でナインとハイタッチした。

　発展途上中の左腕にとって、侍ジャパンで過ごす毎日が勉強の連続だ。「本当に毎日が必死だけど、すごく自分にとってプラスなことばかり」。宮崎での代表合宿中は、同じ左腕としてあこがれ、尊敬するソフトバンク杉内といつも一緒。練習中はもちろん、合宿中には食事にも連れて行ってもらい、球界を代表する左腕の投手としての極意を間近で感じた。

　それだけではない。今回の日本代表には杉内以外にも、実力や実績を兼ね備えたスター選手が結集。マリナーズ城島からは自身の特徴と、今後、自分が進むべき方向を示してもらうなど、あらゆることを吸収している。「スライダーのいい投手は、逆の球をもっと大事にしろと言われた。自分もそう思っていたけど、城島さんに言われて、その気持ちがさらに強くなりました」と話していた。

　一時は日本代表候補から外れ「自分の力のなさを感じた」と落胆したこともあった。だが、ドジャース黒田の代表辞退で巡ってきたチャンスをしっかりものにし、今では侍ジャパンの左の中継ぎとして、欠かせない地位を確保しつつある。「自分は言われたところで投げるだけ。中継ぎなんで、０点で抑えるのが一番です」。“敗者復活”から不屈の精神で生き残った背番号１９。「とにかくやらんといかんのです」。株を上げた虎の左腕が、世界を相手に宝刀を抜く。【石田泰隆】

　［2009年2月25日12時30分　紙面から］

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