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侍ジャパンメンバー

内野手 鳥谷 敬

#1 Takashi Toritani
鳥谷 敬

(C)NPB/BBM2013

所属 阪神
今季年俸 2億8000万円
投打 右左
生年月日 1981/6/26
出身地、経歴 東京、聖望学園-早大
身長・体重 180センチ・77キロ
2012年成績 144試合、8本塁打、59打点、15盗塁、打率.262
五輪、WBC出場歴 なし

見て活用して手術も受けて磨いた選球眼

鳥谷 敬

 侍ジャパンに、メジャー3冠王のカブレラ(タイガース)は存在しない。他国との体格、パワーの違いを考慮すれば「つなぎ」に傾くのは自然の流れ。ならば、うってつけの存在がいる。映画「マネーボール」の主人公、出塁率重視のアスレチックス・ビーンGMなら喉から手が出るほど欲しくなるクール侍だ。

 鳥谷敬内野手(31=阪神)は見る。とにかく見続ける。捕手のミットに収まるまで白球から目をそらさず、審判のコールを確認。2月から3月の実戦で確認するのは「打てる、打てないというより、ボールがしっかり見えている」かどうか。開幕前、快音連発やミート率など派手な目安には目もくれない。ボールと見切ったモノがボールとコールされるか。地味な作業を何年も黙々と続けた結果、強力な武器「選球眼」を手に入れた。

 11年は78四球でリーグ1位タイ。12年は断トツで両リーグ最多の94四球を選んだ。11年の出塁率3割9分5厘はリーグ1位。打率2割6分2厘と苦しんだ昨季でさえ、同5位の3割7分3厘を誇った。12年はストライクゾーンを巡り、微妙な判定が相次いだ。それでも反復で作り上げた空間に確固たる自信を持ち、広くなったゾーンに惑わされず「四球王」に君臨した。

 鳥谷 何年も自分のストライクゾーンを振っているわけだから。ボール球を打つ練習はしてないし。審判がストライクに見えるなら、追い込まれたら振らないといけない場所もある。でも基本はできるだけゾーンを広げないようにしている。

 06年からは専用メガネで3D映像に反応し、動体視力などを高める機械を積極的に活用。数年前にはレーシック(視力矯正術)も決断した。球界屈指の選球眼は1日にして成らず、だ。早大2年春、東京6大学史上最速タイの3冠王に輝いたスラッガー。今、「自分は狙ってホームランを打てない。だからホームランバッターじゃない」と言い切る。阪神入団直後に金本や今岡の長打力を見せつけられた男は、派手さにとらわれず勝利に貢献する、そんな生き方を貫いている。

 鳥谷 打ちたいのに我慢して四球を取ってるわけじゃないよ。ストライクじゃないから打たないだけ。

 もっとも根底にあるのは「四球が多いからいい、とは思わない。打った方が勢いがつく」という考え。ただWBCで超一流投手を打ち崩すのは、決して容易ではない。世界基準のゾーンに微修正できれば…。ストライク&ボールの「仕分け人」鳥谷は、スモールベースボールの核と成りうる侍だ。【佐井陽介】

 (2013年1月14日付日刊スポーツ紙面掲載)









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