新十両の欧勝海(22=鳴戸)が奮闘している。6日目に英乃海を上手投げで下し、3勝目を挙げた。「相手にもろ差しになられてヤバい、と思ったけど、最後まであきらめずにいけたのがよかった」。星を五分に戻し「ここからが本番。一番、一番集中していきたい」と引き締めた。

3人兄弟の次男で、石川・津幡町の実家は温浴施設「やたの湯」を経営している。親元を離れ、新潟・海洋高で相撲に打ち込ませてくれた親への感謝を忘れたことはなく、その期待に応えたい気持ちは強い。十両昇進を決めた先場所。母が目の手術で入院すると聞くと「ここで(昇進を)決めなきゃいけない」と気合が入った。決意通りの結果を出し、「関取になって家族を早く楽にさせたい」という思いを見事かなえた。

仕事で忙しく、観戦できない家族のために入門以来、欠かさず取組の動画をLINEで送っている。能登半島地震では、幸いにも実家や親族に大きな被害はなかったが、連日、故郷からは心が痛むニュースが聞こえてくる。「勝って地元に元気を与えたい」。堂々と誓った22歳は、今日もそんな一番を届ける。【平山連】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)