井上尚弥の弟の井上拓真(20=大橋)は、大差の判定勝ちで世界戦へ前進した。53キロ契約10回戦で強敵サルダールと対戦し、1回にいきなりダウンを奪われた。5回には右拳も痛めたが、冷静に立て直し8、9回と2度ダウンを奪って逆転勝ち。「1回がなければ完勝だった。ダウンして一気に目が覚めた。立った瞬間冷静になって、順調に組み立てていけたのはある意味、収穫」と笑顔で話した。

 父真吾トレーナーにも、珍しくほめられたという。拓真にとっては世界戦の最終試験と位置づけられた試合。KOこそなかったが、冷静に劣勢をはねかえしたたくましさで、答えを出した。デビュー2戦目には世界ランカー、4戦目では世界挑戦経験者と次々と高いハードルをクリア。大橋会長も「よく1回から盛り返した。次は世界戦になる」と明言。拓真は「どこで戦ってもしっかり準備するだけ」と、世界への心構えはできている。