WBC(世界ボクシング評議会)が2日(日本時間3日)、1日のバンタム級タイトルマッチで山中慎介(35=帝拳)と対戦したルイス・ネリ(23=メキシコ)を無期限出場停止にすると発表した。大幅な体重超過で計量失格となり、王座を剥奪されていた。試合は2回TKOで勝利したが、王座は空位、山中は引退を表明した。今後ネリへの聴取も行う。

 蛮行に異例の早さで制裁が下された。試合終了から約36時間後、WBCが本部を置くメキシコ時間の2日午後4時55分、日本時間3日午前7時55分、極めて厳しい文面でネリへの処分が発表された。

 「バンタム級王者が公式計量に5ポンド(約2・3キロ)もオーバーしてきたことは、単純に受け入れがたい。公式にネリを無期限出場停止処分にすると決めた」

 2月28日の前日計量では1回目でリミットを2・3キロオーバーの55・8キロ、再計量でも54・8キロと超過し、王座を失った。初めから減量を諦めたかのような態度に、統括団体として断固たる措置を下した形だ。世界的にも同様に剥奪覚悟の計量失格のケースが頻出しており、抑止力とした意図も透ける。

 試合では山中に2回TKO勝ちした。だが、減量苦の有無など明らかな体調面の差があった上の不公平な勝利に、国内外から大きな批判が起きた。階級制の根幹を揺るがす愚行に、山中も「ルールがあるので、本当に人として失格。ボクシング界全体で厳しくしてほしい」と求めた。

 WBCは併せて、今後ネリへの聴取を行うとした。処分発表を受け、日本ボクシングコミッション(JBC)の安河内剛事務局長は「過去にも体重超過の例はある中で、非常に迅速で重大な処分」と見解。WBCはネリへのファイトマネーについても、未払い分の7割の支払いを凍結する指示をしている。

 なお、他団体での試合は行えるが、安河内事務局長は「少なからず他の主要3団体に影響を与えることになると思う」と見通しを示した。ネリはこの日、都内で取材に応じ「(処分を)受け入れるが、またベルトのために戦いたい」と話した。

 ◆WBCによる無期限出場停止 最近では16年に2度のドーピング違反が発覚したアテネ五輪スーパーヘビー級金メダルのポベトキン(ロシア)に、17年3月に無期限の出場停止処分と罰金25万ドルを科した。その後同年11月に解除され、同12月には罰金も支払われ、世界ランクにも復帰した。