16年のリオデジャネイロ・オリンピック(五輪)にボクシング男子ライト級で出場した成松大介(28=自衛隊)に対して日本スポーツ振興センター(JSC)が15年度に交付した助成金240万円が、日本ボクシング連盟の指示で3等分されて別の2選手に80万円ずつ渡されていたことが28日、関係者の話で分かった。ボクシングで同年度に助成対象だったのは成松だけで、不正流用の可能性がある。JSCは今後調査する方針。

 関係者によると、成松は助成金を受けた際に日本連盟の山根明会長から「3人で分けるように」と指示され「おかしいと思ったが断れなかった」と話している。助成金の一部を受け取ったとされる選手の1人も事実を認めているという。同会長は連盟を通じ「一切の取材をお断りしている」とコメントした。

 今年に入って、助成金の目的外使用の指摘が連盟側に寄せられ、複数の連盟幹部が5月30日に成松と面談。幹部らからは「会長の命令っていうと、おかしくなっちゃうから」「あなたが(自分の意思で)分けてやったと言ってくれるとうれしい」などと、会長の指示ではなく、成松が自ら助成金を分配したことにするよう促す発言があった。翌31日には幹部から成松の口座に160万円が振り込まれた。

 関係者らは今回の問題に加え、試合の判定での不当な操作や山根会長から関係者へのパワハラ、不正経理があったとして、日本連盟に対する告発状を28日までに文部科学省やスポーツ庁、日本オリンピック委員会、JSCなどに郵送した。